- 売買の仲介手数料を値切る客は嫌われる?NG行動5選
- 仲介手数料の値引き交渉が通りやすい言い方やメール例文を紹介
- 仲介手数料の値引き交渉の注意点とタイミング
「売買の仲介手数料を値切ると相手にされない?」
「仲介手数料を値切ることは、そもそも良くないことなの?」
実は、仲介手数料は法律で上限が定められているだけで、その範囲内であれば金額は自由に設定できます。そのため、値切ること自体は購入者の正当な権利です。
ただし、値引き交渉はビジネスの世界では言い方ひとつで大きな成果を収めたり、逆に大きな損失を被ったりと、極めてセンシティブな作業でもあります。
小島解説員
渡邊編集者
売買の仲介手数料とは
不動産の売買では、不動産会社に仲介を依頼し、物件探しから契約の締結、購入物件の引き渡しまでのサポートを受けることが一般的です。
これらのサービスに対する報酬として支払うのが仲介手数料です。
宅地建物取引業法で上限規定がある
不動産の売買における仲介手数料は、宅地建物取引業法第46条により、国土交通省が定めた金額の範囲内で設定する必要があります。
実際に不動産会社が請求する仲介手数料の金額は、この法定上限額を超えなければ、仲介業者と買主の間で自由に設定できます。そのため、手数料の金額は業者によって異なることがあり、またキャンペーンや時期によって変動することもあります。
小島解説員
税抜きの成約価格 | 上限額(税抜き) |
(1)400万円超 | 3% |
(2)200万円超 ~ 400万円以下 | 4% |
(3)200万円以下 | 5% |
例えば、売買の成約価格が3,000万円の場合、仲介手数料の法定上限額は以下のように計算されます。
- (1)2,600万円×3%=78万円
- (2)200万円×4%=8万円
- (3)200万円×5%=10万円
- (1)+(2)+(3)=78万円+8万円+10万円=96万円(税抜)
また、成約価格が400万円を超える場合は、「速算式」で簡単に上限額を計算することができます。
- 成約価格の3%+6万円
渡邊編集者
売買仲介手数料の相場
売買仲介手数料は、仲介業者ごとに請求される金額が異なりますが、明確な「相場」というものは存在しません。
小島解説員
一方で、中規模の不動産会社や地元に根付いた小さな不動産会社では、最初から仲介手数料を低めに設定している場合や、顧客からの値引き交渉に柔軟に対応してくれるケースが多く見受けられます。
支払は2回に分けて現金一括が原則
売買仲介手数料の支払いは、一般的に2回に分けて行い、各回で全額の50%ずつ支払うことが多いです。
以下に示すのは、全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)が作成した「仲介手数料支払承諾書」のひな形です。この書面は、売買契約が締結された日に買主が記入するもので、これにより仲介手数料の金額が正式に確定します。
仲介手数料支払承諾書 引用:仲介手数料支払承諾書||全国宅地建物取引業協会連合会
仲介手数料の支払い時期は、契約締結日と残金決済日の2回に分かれ、いずれも仲介業者に現金で支払うことになります。
たとえば、売買の成約価格が3,000万円の場合、仲介手数料の総額は税込みで105万6,000円となり、契約締結日には52万8,000円(税込)、残金決済日にも同額の52万8,000円(税込)を支払うことになります。
仲介手数料を値切る客のNG行動5選
仲介業務は、物件の内見や売買契約だけでなく、以下のように多岐にわたる業務を含んでいます。
小島解説員
渡邊編集者
- 売却査定の調査と報告書作成、販売中の物件の価格調査、ネット広告などへの物件情報の掲載、物件確認(新しい販売物件の下見と写真撮影)、情報提供(買主へ物件情報の提供)、物件案内、内見の立ち会い、購入申込、売主や売主側の不動産会社との折衝や調整、重要事項の調査・売買契約書、重要事項説明書などの書類作成、売買契約締結・銀行への住宅ローンの取次、司法書士へ不動産登記の依頼、残金決済と物件引き渡し、リフォームの取次
ここからは、こうした多岐にわたる業務をこなす不動産会社が、仲介手数料の値切りを嫌がる理由を解説します。
- 信頼関係が構築しづらい
- 営業マンの成績や歩合収入が減る
- 司法書士報酬やリフォーム費用も値切る可能性が高い
- 値下げが当然のように言われ気分を害す
- 取引後にもトラブルになる可能性が高い
信頼関係が構築しづらい
仲介業者の担当者は、自分の会社を頼りに問い合わせてくれた買主に、ぜひ理想の物件を見つけてマイホームを手に入れてほしいと強く願っています。
そのため、買主に気に入ってもらえそうな物件が見つかると、誰よりも早くその情報を提供しようと積極的に動いてくれます。
小島解説員
営業マンの成績や歩合収入が減る
不動産営業マンの給与は、回収した仲介手数料の額に応じて歩合制になっていることが多くあります。したがって、仲介手数料が高ければ高いほど収入が増えるため嬉しい反面、手数料を値切られると負担を感じることもあります。
しかし、契約を成立させない限り収入が増えないため、契約件数や獲得手数料が少ない月には、たとえ手数料が減っても契約を優先したいと考えることもあるでしょう。
司法書士報酬やリフォーム費用まで値切る可能性
不動産を購入する際には、必ず不動産登記を行う必要があります。通常、この手続きは登記の専門家である司法書士に依頼し、報酬を支払うのが一般的です。また、中古不動産を購入してリフォームを行う場合、大規模な工事となると数百万円単位の費用がかかることもあります。
しかし、提携している司法書士やリフォーム業者を買主に紹介した際、その報酬が大幅に値引きされると、紹介者としての面目が立たないことになります。
値下げが当然のように言われ気分を害す
不況が続く中で、少しでも節約したいという気持ちは誰にでも理解できるため、値下げを求める行為自体は理解できます。
しかし、「この状況なら値下げは当然ですよね?もし応じてくれないなら他の仲介業者に変えます!」といった、値下げが当然の権利であるかのような強引な態度を取られると、不快な気持ちになるのは無理もないことです。
渡邊編集者
取引後にもトラブルになる可能性が高い
相手に配慮することなく、当然のように大幅な値切り交渉を行う買主は、他の要望についても強引で配慮が欠けている可能性が高いと警戒されます。
こうした買主と取引を続けると、トラブルが発生した際に多大な時間と労力を奪われてしまうため、不動産会社はトラブルの兆候があると判断した場合、これ以上の関係は断る可能性もあります。
仲介手数料を値切るコツ7選
仲介手数料の値引き交渉に成功するには、物件や時期の見極め、不動産会社の探し方などいろいろとコツがあります。7つのポイントにまとめましたので、それぞれ詳しく説明します。
- 中小規模の不動産会社を選ぶ
- 両手仲介物件を購入する
- 購入物件をすぐに決める
- 閑散期に不動産探しをする
- 誰かの紹介もしくは誰かを紹介する
- ローンが通りやすい状況にある
- その不動産会社が売主の物件を購入する
中小規模の不動産会社を選ぶ
大手の不動産会社では、仲介手数料を法定上限額で請求するのが一般的で、値下げ交渉をしても応じてくれない場合がほとんどです。
そのため、仲介手数料を値引きしたいと考えるのであれば、中小規模の不動産会社で家探しをするのが賢明でしょう。
両手仲介物件を購入する
不動産取引では、2社の不動産会社が介在するケースと、1社だけが関与するケースがあります。1社のみの場合、その会社は売主と買主の両方を担当し、双方から仲介手数料を受け取ることになります(両手仲介)。
小島解説員
また、家を買い替える際には、旧居を売却し新居を購入することになりますが、これを1社がまとめて担当する場合、その会社は1人の顧客から2つの収入を得られるため、この場合も手数料の値下げに応じやすい傾向があります。
購入物件をすぐに決める
購入物件がすぐに決まり、短期間で契約に至る場合、仲介担当者も少ない労力で契約が成立したと感じるため、値下げ交渉に応じてくれる可能性が高まります。
一方で、あれこれと注文が多く、頻繁に内見を繰り返してもなかなか物件が決まらない買主と、手間や労力をかけずに短期間で物件が決まる買主では、かかった時間や労力に大きな差があるため、その差が値下げ交渉に影響を与えることがあります。
閑散期に不動産探しをする
閑散期には、問い合わせが少ないため、仲介業者自身が仲介手数料の減額キャンペーンを実施することがあります。
こうした時期には、契約が成立することが重要と考えられるため、たとえ仲介手数料が値切られても仕方がないという気持ちになりやすく、値下げの可能性が高くなると言えます。
渡邊編集者
誰かの紹介もしくは誰かを紹介する
以前に取引をした方からの紹介客は、紹介者の信頼があるため他の不動産会社に乗り換える可能性がかなり低いと考えられます。
また、その買主の満足度が高ければ、さらに紹介の連鎖が続くことも期待できるため、丁寧なサービスと仲介手数料の値下げが両立しやすい条件となります。
ローンが通りやすい状況にある
家を購入する際の売買契約では、「ローン特約」という規定を設けるのが一般的です。この特約により、売買契約を結んでも住宅ローンが通らない場合は、契約が白紙に戻り、契約していない状態に戻ります。
この場合、売買契約時に支払った仲介手数料の50%は全額戻ってくるのが一般的です。
そのため、以下の条件を満たすローンに通りやすい買主には、ローン特約解除の可能性が低いと判断されるため、値下げに応じる可能性が高まります。
- 上場企業勤務や公務員
- 勤続年数が長い、または年収が高い
- 個人信用情報に問題がない、または他に高額な借入がない
- 持病がない
- 購入物件に問題がない
その不動産会社が売主の物件を購入する
仲介不動産が売主の物件を購入する場合や、仲介業者を介さずに売主から直接購入する場合は、仲介業者が介在しないため、仲介手数料は発生しません。
このため、気に入った物件がたまたま仲介を必要としない場合は、もともとお得な物件と言えるでしょう。また、売主と直接交渉することで、売主が価格決定権を持っているため、物件価格を値切る可能性も高くなります。
仲介手数料の値引き交渉で使える言い方・メール例文
小島解説員
値引き交渉を行う際には、以下の方法が効果的です。
- 他社の手数料と比較する際は、嫌味にならないように注意
- 横柄な態度や言い方は厳禁
- その仲介会社で契約する意向を伝える
他社比較する際は、嫌みにならないように注意
他社の仲介手数料の金額を引き合いに出すこと自体は、特に問題のある行動とは言えません。多くの営業マンは、仲介手数料の金額が決め手となり、内緒で他社に契約を持っていかれるよりも、本音でその点を伝えてもらった方が良いと考えているでしょう。
ただし、「他社がこの金額だから、おたくも同じかそれより安くするべきだ!」と強気で迫るのは適切ではありません。代わりに、「他社の価格で迷っている」と正直に相談するのが良いでしょう。
小島解説員
横柄な態度や言い方は厳禁
できる限り仲介業者を味方につけるためにも、「仲介手数料を含む諸費用を抑えて購入できるように協力してほしい」と相談ベースでお願いすると良いでしょう。
そうすることで、仲介手数料だけでなく、物件価格の交渉やその他の費用の調整にも協力してもらえる可能性があります。
「なんとかならないの?」「まけてよ」といった横柄な態度での交渉は良い結果を生みません。
渡邊編集者
その仲介会社で契約する意向を伝える
仲介業者にとって、家探しをしている買主はすでに複数の業者とやり取りしていると考えられるため、競争が激しいです。
他社との競争の中で、少しでも早く良い情報を提供し、最終的に信頼を得ることが重要な動機となります。しかし、あまりにも丁寧に深入りしすぎると、他社で取引が決まった際の労力や時間の損失が大きいとも考えています。
そのため、仲介業者に「この業者で契約する」と宣言すれば、完全に安心するわけではありませんが、信頼関係が強化され、より気軽に本音で相談しやすくなるでしょう。
値引き交渉で使えるメールの例文
メールでの値引き交渉は、直接交渉が苦手な方にとっておすすめの方法です。
不動産会社の担当者に対する値引き交渉のメールの例文を以下に載せましたのでぜひ参考にしてください。
件名: 仲介手数料の値引きについてのお願い
株式会社〇〇不動産 〇〇様
お世話になっております。先日〇〇の物件をご紹介いただいた〇〇と申します。
物件自体は非常に気に入っており、契約を前向きに検討していますが、予想以上の初期費用がかかるため、契約に対して少し迷いが生じています。
つきましては、もし可能であれば、仲介手数料を〇円に値下げしていただけないでしょうか。ご承諾いただければ、契約を進めたいと思っております。ご検討いただけると幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
〇〇(自分の名前)
このメールでは、まず担当者に対して日頃の感謝の意を示し、その後、契約を検討しているが予算的に厳しい旨を正直に伝えます。
必ず具体的な値引き額を提示し、値引きが実現した場合には契約を進める意向があることをはっきり伝えることがポイントです。そうすることで担当者は前向きに検討しやすくなります。
相手が不動産会社であっても、いきなり用件だけ伝えるといったことはせず、礼節をもって具体的な提案を行いましょう。
【売買】仲介手数料を値切るタイミング
高額な不動産売買において、仲介手数料も比例して高額になります。値下げ交渉が難航する可能性や、不動産会社に与える影響も考慮して、できるだけ早く交渉を始めるのが基本です。
物件探しのはじめの段階
不動産会社には、一件の取引で最低限必要な仲介手数料の基準があります。また、限られた時間内で全てを丁寧に対応することは難しく、営利企業としては受け取る手数料に見合ったサービスを提供するという考えもあるでしょう。
そのため、契約が決まりかけてから値切りを持ちかけるのは望ましくありません。対等な関係を保ち、仲介業者に快く対応してもらうためにも、物件探しの初期段階で希望を伝えておくことが重要です。
契約直前や契約当日は絶対にダメ
売買物件の仲介手数料は、売買契約締結時に「仲介手数料支払承諾書」にサインをすることで初めて確定します。それにもかかわらず、契約当日や契約後に値切りを持ちかけるのは単なる迷惑行為となります。
渡邊編集者
売買の仲介手数料を値切る際のデメリット
家探しは、感情を持った人間同士の関係が基盤となるため、良好な関係を築くことが理想です。そこで、売買の仲介手数料を値切ることがもたらすデメリットについて解説します。
- サービスの充実度が下がる
- 担当者との信頼関係が構築しづらい
- 担当者のなかで業務の優先度が下がる
- 物件情報が入りづらくなる
- もともと仲介手数料が安いケースには要注意
サービスの充実度が下がる
仲介手数料を当然のように、悪びれたり遠慮したりせずに値切ってくる人に対して、営業マンが誠意を持って対応しようとする気持ちに少しのためらいが生じるのは理解できることです。
この感情が無意識のうちに行動に影響を及ぼし、サービスの質が低下することもあります。
担当者との信頼関係が構築しづらい
担当者は、買主のマイホーム購入の夢を実現するために、誠心誠意サポートします。そのため、できるだけ多くの手数料を得て、それに見合うサービスで感謝されたいと考えています。
しかし、過度な値下げを要求されると、これから築いていく信頼関係に不安を感じることもあるでしょう。
担当者のなかで業務の優先度が下がる
不動産営業マンは歩合制で働いており、その成績によって給与や昇進が決まります。
顧客を単なる収益の対象として扱っているわけではありませんが、同じ労力をかけるなら、より収益性の高い案件を優先する傾向があります。
渡邊編集者
物件情報が入りづらくなる
営業マンは、成約しやすい、または成約してほしいと考える顧客に対して、優先的に情報を提供する傾向があります。
例えば、決断が速い人、ローン審査に通りやすい人、すぐに予定を調整できる人、自己資金に余裕がある人、仲介手数料を値切らない人などがその対象です。
もともと仲介手数料が安いケースには要注意
仲介手数料が元から安い場合、買主にとってはコストが抑えられてラッキーに感じるかもしれません。しかし、手数料が安いということは、その分コストを削減し、業務量をある程度に制限している可能性が高いです。
つまり、問い合わせが多く、人手不足な不動産会社は営業マンが多数の案件を担当することがあるため、常に仕事が山積みで手一杯になっている可能性があります。この忙しさや疲労がミスを招くリスクがあることも理解しておくべきです。
小島解説員
交渉が断られた理由
仲介手数料の値切り交渉が断られる理由には、以下のような要因があります。基本的には労働量やリスクと報酬が釣り合わないこと、値切る意味がない場合などです。
小島解説員
値引き交渉が断られた理由
- 築年数が古い物件
- 売買価格が安い
- 人気が高い物件
- 単に値下げ交渉が気に食わない
築年数が古い物件
築年数が古い物件には、以下のような隠れたリスクが多く、対応には多くの労力がかかる傾向があります。
- 違反建築の可能性:昔は適法だった建物が、現在の法律では違法とされることがあります。これを「既存不適格」と呼び、違法要因を解消しなければ住宅ローンが組めません。
- 長期のローンが組めない:金融機関は、一戸建てなどの木造建築に対して独自の耐用年数を設定しており、築年数が古い木造住宅はローンが組めないか、短期間での返済を求められることがあります。
- 高額のローンが組めない: 古い建物は担保価値が低いため、希望する額のローンが承認されないことがあります。
- 耐震性能が低く補強も難しい:古い建物は耐震基準が低く、大きな地震に耐えられない可能性が高いです。耐震補強工事は高額であり、現行の耐震基準に達しない場合もあります。
- 越境や私道負担、再建築の問題:昔の建物は、隣地境界が曖昧だったり、私道負担や再建築の問題があることがあります。地下配管やシロアリ被害、土壌汚染などの隠れた問題もあるかもしれません。
そのため、不動産会社はこれらのリスクを避けるため、築年数が古い物件を積極的に扱わない傾向があります。
小島解説員
売買価格が安い
築年数が古い一戸建てや、築年数が古くて間取りが狭いマンションなど、売買価格が低い物件の場合、元々仲介手数料が安く設定されています。
そのため、仲介業者にとっては仕事に対する報酬が割に合わないことが多く、値下げ交渉には応じにくい傾向があります。
人気が高い物件
人気のある物件には以下のような特徴があり、多くの問い合わせを受けるため、すぐに売れてしまうことがほとんどです。
- 新着物件:市場に新しく売り出されたばかりの物件
- 値下げ後:価格が下がって購入しやすい価格帯になった物件
- 極秘物件:広告が制限されており、情報が広まりにくい物件
- 格安物件:相場よりも安く売り出されている物件
- 人気校区:人気の学校区に位置する物件
- 希少物件:なかなか市場に出ない希少性の高い物件
これらの物件は購入希望者が多いため、必然的に仲介手数料を満額払ってでも購入したいという人が優先されます。
渡邊編集者
仲介手数料以外で安くするには?使える補助金
最後に、仲介手数料以外で費用を抑える方法として補助金の利用をご紹介します。
以下は2024年度に利用可能な国の補助金の一例です。
国の補助金は多くが先着順であるため、申し込もうとした際には既に締切を過ぎている可能性がありますので、早めの確認・申し込みが必要になります。
渡邊編集者
戸建住宅ZEH化等支援事業
戸建住宅ZEH化等支援事業は、年間の一次エネルギー消費量が実質的にゼロに近づけることを目指す住宅(ZEH)や、さらに高い性能を追求するZEH(ZEH+)の戸建て住宅の新築または購入を支援する事業です。
対象者 登録済みのZEHビルダーやプランナーが建設・設計・販売する、指定条件を満たすZEHに該当する住宅を建設する方が対象です。
補助金額 1住戸につき、55万円または100万円が支給されます。特定の設備を導入することで、補助金額がさらに増額される場合があります。
- 単年度公募:2024年4月26日から2025年1月7日まで
- 複数年度公募:2024年11月5日から2025年1月7日まで
給湯省エネ2024事業
給湯省エネ2024事業は、家庭におけるエネルギー消費の中で大きな割合を占める給湯分野において、高効率給湯器の導入を支援し、その普及を促進することを目的とした事業です。
対象者 対象機器を設置する住宅の所有者やその家族で、給湯省エネ事業者と契約を結び、指定の方法で高効率給湯器を導入する方が対象です。
- ヒートポンプ給湯機(エコキュート)の導入:1台につき8万円
- 電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機)の導入:1台につき10万円
- 家庭用燃料電池(エネファーム)の導入:1台につき18万円
申込期限 2023年11月2日から予算が上限に達するまで(遅くとも2024年12月31日まで)
子育てエコホーム支援事業
子育てエコホーム支援事業は、エネルギー価格や物価の高騰に影響を受けやすい子育て世帯や若者夫婦世帯が、高い省エネ性能を持つ新築住宅を取得する際の支援を行う事業です。この支援により、これらの世帯の省エネ投資をサポートすることを目的としています。
- 申請時点で、2005年4月2日以降に出生した子どもを持つ子育て世帯
- 申請時点で夫婦であり、いずれかが1983年4月2日以降に生まれた若者夫婦世帯
- 長期優良住宅の場合:1住戸につき100万円
- ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準住宅の場合:1住戸につき80万円
申込期限 2024年4月2日から予算上限に達するまで(遅くとも2024年12月31日まで)
サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)LCCM戸建住宅部門
サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)LCCM戸建住宅部門は、戸建住宅の建設時、運用時、廃棄時においてCO2削減を積極的に行い、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入によってCO2の収支をマイナスにするLCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅の新築を支援する事業です。
対象者 指定された基準を満たしたLCCM住宅を建設する方
補助金額 設計費や建設工事における補助対象工事の掛かり増し費用の合計金額の半額(上限は1住戸につき140万円)
申込期限 2024年5月17日から2025年1月20日まで
【予定】地域型住宅グリーン化事業
地域型住宅グリーン化事業は、地域内の資材供給、設計、施工などの連携体制を活かして、高品質な木造住宅を整備し、地域の中小工務店による長期優良住宅の整備や三世代同居対応工事を支援する事業です。
対象者 グループ登録された地域の工務店が、地域木材を使用し、一定の性能基準を満たした住宅を建設する方
補助金額 1住戸につき、最大140万円
申込期限 現在の公募は締め切られていますが、令和6年度の住宅局予算概算要求概要に地域型住宅グリーン化事業が含まれているため、今後新たな公募が発表される可能性が高いです。
小島解説員
渡邊編集者
住宅ローン減税
補助金ではありませんが、住宅ローン減税も住戸によっては併用可能です。
ただし、この制度を利用するためには、住宅が省エネ基準を満たしている必要があります。住宅の性能に応じて、住宅ローン減税の適用限度額が異なり、申請には省エネ基準以上に適合していることを証明する「証明書」が必要です。
まとめ
仲介手数料は、不動産売買をサポートする仲介業者への報酬で、通常は成約価格の約3%が支払われます。
法律では仲介手数料の上限が定められていますが、実際には双方の合意により自由に設定することができますので、値切ること自体はお客様の権利です。
ただし、値下げしやすい状況や、値下げを引き出すための言い方にはコツがあります。これらを理解し、謙虚な姿勢で交渉に臨むことが重要です。
また、初期費用を抑える方法として国の補助金や住宅ローン減税を利用する手もあります。総合的に見てお得な方法で理想の家が手に入るといいですね。