中古マンション購入で重要な「付帯設備表」「物件状況確認書」を解説!トラブルを防ぐためには?

中古マンション購入で重要な「付帯設備表」「物件状況確認書」を解説!トラブルを防ぐためには?


この記事を書いた人
小島 優一
宅地建物取引士

宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士。生命保険会社にてリテール業務に従事した後、2014年に不動産仲介会社であるグランドネクスト株式会社を設立。 2021年より幻冬舎ゴールドオンラインにて不動産を通じて財産を守る、増やす、残す記事を連載している。 >> 詳細はこちらから

この記事のまとめ
  • 中古マンションで重要な書類とは
  • 「付帯設備表」を交付しないことはある?交付義務は?
  • 「物件状況確認書」の主な内容を紹介

マンションを購入するためには、まずは情報収集や調査などをして書類を確認した上で契約をします。しかし情報収集や調査をするために事前にマンションや周辺を見たとしても、分かりにくい点や判断しにくい部分などがあります。

まずは中古マンションを購入する場合の基本的な流れをみていきます。

物件を探す
申込をする
売買契約をする・住宅ローンを申込む
引渡し・決済をする
引越をする・住宅ローンを申込む

「物件を探す」からはじまり購入しようと思うマンションが見つかったら「売買契約をする」までに、重要事項説明書、付帯設備表、物件状況確認書、売買契約書などの書類を目にすると思います。

不動産のパンフレットやチラシなどは宣伝の要素が出てきますので、今回は最適なマンション選びをする上で重要な「付帯設備表」「物件状況確認書」などの書類を通して中古マンションを購入する上でのポイントをみていきましょう。

中古マンションで重要な書類について

不動産の書類は聞きなれない用語などもあり内容を理解をしていないため後でトラブルになる事もありますので、不明点は確認をしておきましょう。

宅地建物取引業法という法律では宅地建物取引士より契約までに物件についての重要事項説明をしなければならないとしていますが、契約後のトラブル防止のために「付帯設備表」「物件状況確認書」などの書類を添付しています。

不動産の購入は初めてという方が多いと思いますが不明点などはしっかりと確認しておきましょう。

小島解説員小島解説員

マンションの付帯設備表について

新築マンションでは内覧会やアフター点検などで不具合などのチェックをしていきますが、購入する不動産は中古物件なので、新築の時のように完璧な状態ではありません。中古マンションでは「付帯設備表」などで設備などの故障、不具合などの確認をしていきます。

不動産会社が加盟している協会によって少し書式は異なりますが「付帯設備表」には設備の有無や引渡し時のキズや汚れなど、引渡しまでに売主が撤去したり補修したりする場合の内容が書かれています。

MEMO

エクセル形式での雛形のダウンロードは下記リンクよりできます。

書き方がわかりづらい部分もあるため、誤記入によるトラブルが発生しないよう、注意深く対応することが重要です。

付帯設備表 雛形(全日本不動産協会 付帯設備表「区分所有建物用」より引用)

渡邊編集者渡邊編集者

付帯設備表の中で気をつける点やどんな不具合が多いのか知りたいのですが・・・?

不具合などは備考欄に明記していますので引渡までに売主が修理、撤去するものとそうでないものを把握しておきましょう。

小島解説員小島解説員

「付帯設備表」の項目を上から見ていくと「給湯関係」について記載していますが給湯器の種別や設置場所、不具合がある場合にはその内容が備考欄に明記されます。このように付帯設備ごとの状況がわかるようになっています。

不具合や劣化などは部屋ごとに異なってきますので、ここでは「付帯設備表」の記載事項の中でよくある不具合についてまとめましたのでご参考にしてください。

マンションの付帯設備表と現況の注意点
  • トイレ設備
    ウォシュレットが故障している、水の出が悪い(水圧や水量を調整するバルブや浮き玉などが故障している事もあります)
  • 冷暖房機
    エアコンが設置していない箇所は取り付ける際に隠蔽配管になってていないか(隠蔽配管=配管が壁の中に埋まっているので設置が可能か確認しましょう)、設置場所と設置台数などもしっかりとチェックしましょう。
  • 建具関係
    網戸は戸車などが劣化しやすく破れやほつれなどもあります。ドアレバーのガタつきなどがあると故障時に鍵がかかってしまい閉じ込み事故などにもつながりますので事前に把握しておきましょう。

「付帯設備表」を交付しないことはある?交付義務は?

「付帯設備表」は、不動産取引の際に物件の設備やその状態を確認するための書類ですが、交付義務が法律で明確に定められているわけではありません。つまり、必ずしも交付しなければならないものではなく、取引の状況や物件の種類によっては交付されないケースもあります。

ただし、付帯設備表は売主と買主の間で設備の状態や有無を明確にする重要な書類であり、後々のトラブルを防ぐために多くの不動産取引で活用されています。

特に中古物件では、設備の劣化や不具合が発生しやすいため、付帯設備表を交付することで売主と買主の間で設備の現状を確認し、認識のズレを防ぐ役割を果たします。

付帯設備表の記載に虚偽があった場合はどうなる?

虚偽があった場合は、購入者と売主との間でトラブルが発生する可能性が高まります。

例えば、設備の状態が実際とは異なる記載があったり、故障や不具合があることを隠していた場合、購入者は購入後に修理費用や交換費用を負担しなければならない事態に直面します。

このような場合、購入者は損害賠償請求や契約解除を求めることができるケースもあります。売主としては、信頼関係を損なわないためにも、付帯設備表には正確な情報を記載することが重要です。また、購入者も事前に設備の状態を確認することで、後のトラブルを防ぐことができます。

マンションの物件状況確認書について

マンションの「物件状況確認書」についても不動産会社が加盟している協会によって少し書式は異なりますが引き渡し時の状況が告知書という形で明記されています。

次のような内容が明記されています。

物件状況確認書の主な記載内容
  • 建物について
  • 周辺環境について
  • 管理費・修繕積立金、大規模修繕工事の予定、管理組合討議事項等
  • 物件に関する資料等

全日本不動産協会 物件状況確認書(告知書)「区分所有建物用」より引用

建物について

建物については雨漏り、シロアリ被害、給排水管の故障、漏水等の被害などについて書かれています。

「付属設備表」では水廻り関係では付帯されているものについての故障に不具合(洗面台、食器洗浄器など)について記載されていましたが、漏水などの状況については記載事項にはなっていませんので、水廻り関係の漏水などが気になる場合は「物件状況確認書」の給排水施設の漏水についての項目を確認しておきましょう。

MEMO

経年劣化などの給水蛇口からの水漏れなどは、パッキン交換など軽微な補修ですむ場合も多く、すぐに対応してくれる可能性があるので蛇口から水を出して確認してみてくださいね。

周辺環境について

周辺環境については同一エリア内での状況は変わらないと思いますので「物件状況確認書」の内容を照らし合わせておきましょう。

管理費・修繕積立金、大規模修繕工事の予定、管理組合討議事項等

管理費、修繕積立金、自治会費などは毎月の収支に関する項目ですので管理費、修繕積立金の値上げの予定がある場合、自治会費を個人で負担するのかマンションで負担するのかなども目を通しておきましょう。

大規模修繕工事の予定がある場合には工事中は足場がかかっていて暗くなったり、ベランダの防水工事や塗装工事時の期間にベランダの洗濯物が干せないなどの期間があります。

大規模工事時は一時的に不便だと感じるかもしれませんが、長期的に見ると大規模修繕工事をする事で資産価値は保たれると考えられますのでしっかりと長期修繕計画を策定し、大規模修繕工事を実施しているマンションという面での評価ができます。

管理組合討議事項等に記載されている事項があればこちらも目を通しておきましょう。個々のマンションごとの討議事項で事前に把握しておくべき項目が記載されています。

物件に関する資料等

築年数が古かったり、耐震性をそなえていない場合には住宅ローンの借入や税制上の特例が受けられなくなる可能性もありますし、新築時の設計図書などの有無はリフォームをする場合などにはそろえておきたい書類です。

注意

売主が保管していない場合でも管理組合や管理会社が保管している場合があります。

中古マンション購入のまとめ

このように中古マンション購入時には「付属設備表」「物件状況確認書」などの書類は特にチェックしておくべき重要な書類です。

中古マンション購入時の重要書類
  • 「付帯設備表」⇨ 建物に付帯する設備の有無や状況が記載されている
  • 「物件状況確認書」⇨ 瑕疵(不具合や欠陥など)にあたるようなシロアリの被害、雨漏り、給排水管の故障などが記載されている

「付帯設備表」では設置してある設備、備品などが引き渡されるのか撤去するのかなどについて、書面で何を残して何を撤去するのかを書面にしておく事でトラブルを避けることができます。

「物件状況確認書」では「重要事項説明書」の中でも出てくる項目などもありますが特に重要な物件の状況が記載されています。

中古マンションは設備が痛んでいても基本的には修復をする義務はないので(修復することが明記されている場合には修復します)状況が価格に反映されます。

そのため購入する際には書類に記載された内容をもとに実際の建物の状態を確認していきますので、資料をもとにチェックしていく作業が必要です。