仲介手数料無料のデメリットやトラブルを解説!罠やからくりについて紹介

不動産の仲介手数料無料は罠?デメリットや注意点【賃貸・売買】


この記事を書いた人
小島 優一
宅地建物取引士

宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士。生命保険会社にてリテール業務に従事した後、2014年に不動産仲介会社であるグランドネクスト株式会社を設立。 2021年より幻冬舎ゴールドオンラインにて不動産を通じて財産を守る、増やす、残す記事を連載している。 >> 詳細はこちらから

「仲介手数料無料」と聞くと、非常に魅力的に感じるかもしれませんが、実はその背後にはさまざまなリスクが潜んでいます。近年、仲介手数料無料を謳う不動産会社が増えてきましたが、これが必ずしも買主にとって全て得な取引であるとは限りません。無料という言葉には、どこかに隠れた費用や不透明な仕組みやからくりが存在することも。たとえば、諸費用の上乗せや値引き交渉への対応の悪化、さらには売却時に思わぬ囲い込みが発生することもあります。
ここでは、仲介手数料無料のメリットをしっかりと理解した上で、それに伴うデメリットやトラブルの可能性について解説します。

デメリットや避けられるべきトラブルを回避すれば、仲介手数料無料を最大限に活用し、満足のいく取引も可能です。

小島解説員小島解説員

山口編集者山口編集者

不動産売買を考えている人は是非参考にしてください!

仲介手数料無料のデメリット

仲介手数料が無料になると、初期費用が大幅に抑えられますよね。

売買なら資金に余裕ができて住宅ローンも通りやすくなるかもしれませんし、メリットばかりのように見えますが、実際のところはどうなのでしょうか?

仲介手数料無料の物件には、デメリットが存在するのも事実です。

無料という言葉に隠れた仕組みやリスクを理解し、慎重に進めることが重要です。

小島解説員小島解説員

ここでは仲介手数料無料を選ぶ際に直面するかもしれないデメリットについて解説します。

仲介手数料無料のデメリット
  • 【買主側のデメリット①】他の諸費用で費用がかさむ可能性
  • 【買主側のデメリット⓶】値引き交渉ができない可能性
  • 買主側のデメリット③】仲介手数料無料の物件自体が少ない
  • 【売主側のデメリット①】売却時は囲い込みされる可能性
  • 【売主側のデメリット⓶】売り出し価格が低く設定されるかも

他の諸費用で上乗せさせられるかも

まずは買主側に発生するデメリットをご紹介していきます。

仲介手数料が無料と謳われていても、その費用が全く発生しないわけではありません。

不動産会社が「コンサルティング手数料」や「事務手数料」、「物件調査費」など、独自の名目を用いて費用を請求するケースがあるため、注意が必要です。

これらの費用は法律で義務付けられたものではなく、不動産会社が収益を確保するために設定している場合があります。
また、売買代金そのものに仲介手数料相当額が上乗せされているケースも存在します。

こうした場合、契約書や明細書を見ただけでは気づきにくいことが多いです。

不動産取引において、費用が適正かどうかを判断するためには、事前に購入予定の物件の周辺相場を調べておくことが有効です。

加えて、見積もり内容について疑問があれば、担当者に直接確認し、不安が残る場合は専門家に相談することをおすすめします。

値引き交渉に応じてくれない可能性

仲介手数料無料を謳う不動産会社は、手数料以外で利益を確保する必要があります

そのため、購入者の利益よりも売主側の利益を優先する姿勢を取る場合があります。

具体的には、購入時に値引き交渉を積極的にサポートしてくれない、または交渉自体を避けるケースが挙げられます。

本来、不動産会社は買主の立場に立ち、少しでも有利な条件を引き出す役割を担うべきですが、仲介手数料無料の仕組みがこれを阻害してしまうこともあります。

このため、手数料無料という表現だけに惹かれることなく、購入希望物件の条件や周辺の市場状況を踏まえて慎重に判断することが重要です。

仲介手数料無料の物件自体が少ない

仲介手数料無料を利用できる物件は、実際には限られています。

不動産会社が手数料を免除する場合、そのコストを別の形で補う必要があるため、取り扱える物件が限定されることが多いのです。

また、仲介手数料無料を強調している不動産会社は、特定の売主から直接依頼を受けた物件を扱うケースが多く、選択肢が少なくなる可能性があります。

購入希望者にとって、希望条件に合う物件が見つかりにくいことがデメリットとなるでしょう。

売出し価格が低く設定される可能性がある

ここからは売主側のデメリットを紹介していきます。

仲介手数料無料を掲げる不動産会社では、物件を迅速に売却するために、売出し価格を相場より低めに設定することがあります。

このような状況では、売主が本来受け取るべき利益が減少し、大きな損失につながる可能性があります。

たとえば、売主が適正な市場価格で売却したいと考えていても、不動産会社が短期間で取引をまとめることを優先し、価格の引き下げを強く勧める場合があります。

このリスクを防ぐためには、物件周辺の類似物件の価格を調査し適正価格を把握すること、複数の不動産会社に相談して見積もりや売却プランを比較すること、売出し価格の設定に納得するまで契約内容を慎重に確認することが大切です。

 売却時は両手取引による囲い込みされて決まりづらい可能性

注意すべき点は、不動産会社が「両手取引」を行う可能性があることです。

「両手取引」とは、不動産会社が売主と買主の両方を担当し、双方から手数料を得る取引形態です。

しかし、仲介手数料無料の物件では買主からの手数料収入を期待できないため、売主からの手数料を最大化するために囲い込みが行われることがあります。

囲い込みとは、他の不動産会社が持つ購入希望者の紹介を拒否し、自社で買主を探そうとする行為です。

これにより購入希望者の数が限定され、販売が長期化する可能性が高まります。

その結果、売出し価格を引き下げざるを得なくなり、最終的な売却金額が減少するリスクが生じます。

売主としては、契約前に不動産会社の取引方針や実績をしっかり確認し、囲い込みのリスクが低い会社を選ぶことが重要です。

また、複数の会社に相談し、それぞれの提案を比較することでより信頼性の高いパートナーを見つけやすくなります。

仲介手数料無料のメリット

仲介手数料無料の物件を選ぶことには、金銭的なメリットが非常に大きいことがわかります。

不動産取引における仲介手数料は、購入者にとって無視できない負担となることが多いですが、これを免除されることで、初期費用の削減や住宅ローンの審査における有利な条件を引き出すことが可能になります。

特に、初めて家を購入する方にとっては、仲介手数料の負担を減らすことで、より余裕を持った資金計画が立てられ、家計に大きな負担をかけずに住宅購入を進めることができます。

初期費用を抑えられる

仲介手数料無料の最大のメリットは、住宅購入時の初期費用を大幅に抑えられる点です。

一般的に、不動産取引では購入価格の3%+6万円(税抜)が仲介手数料として発生します。例えば、3,000万円の物件の場合、約96万円の仲介手数料が必要になりますが、これが無料になることで、その分の資金を他の用途に充てることが可能です。

引越し費用や新居の家具・家電の購入、リフォームなどに充てられるため、購入後の生活スタートがよりスムーズになります。

また、手元の資金を多く残せることで、予期せぬ出費への対応力が高まるという安心感も得られます。

特に、初めて住宅を購入する方や、自己資金が限られている方にとって、初期費用を抑えられる点は非常に大きな魅力です。

住宅ローンが通りやすくなる

仲介手数料が無料になることで、住宅ローンの審査においても有利になる可能性があります。

住宅ローンの審査では、物件購入に必要な総額が重要な判断材料となります。

仲介手数料が発生しない分、自己資金の割合を増やしたり、頭金を多く支払うことができるため、金融機関からの評価が高まりやすくなります。

特に、住宅ローンの審査基準が厳しい昨今、少しでも返済能力や自己資金の余裕を示せることは大きなアドバンテージとなります。

また、総借入額が減少することで、返済負担率を下げられるため、希望する融資額が通りやすくなる場合もあります。

このように、仲介手数料無料の物件は、購入時の金銭的負担を軽減するだけでなく、資金計画全体を見直しやすくするというメリットがあります。

仲介手数料無料でトラブル?注意点

仲介手数料無料を謳っている不動産会社と取引をした際に、予期せぬトラブルに巻き込まれることがあります。

特に、「無料」という言葉に安心しきって契約を進めてしまうと、後々思わぬ問題が発生することがあります。

実際に多くの購入者が経験しているトラブルには、後から料金を請求されるケースや、諸費用が相場を大きく上回るといった問題があります。

こうしたトラブルを避けるためには、事前にしっかりと情報を収集し、契約内容をしっかり確認することが重要です。

ここでは、仲介手数料無料に関わるトラブルの具体例と、それらを回避するための対策について詳しく解説します。

仲介手数料を後から請求された

仲介手数料無料を謳っている不動産会社と契約したにもかかわらず、後日になって「追加料金として請求します」と通知される場合があります。

このようなケースでは、契約書に記載された内容や、最初に伝えられた情報が曖昧であったり、不明瞭であったりすることが多いです。

例えば、最初は「仲介手数料無料」と言われていたが、実際には特定の条件を満たした場合に手数料が発生するといったケースです。

こうしたトラブルを防ぐためには、契約前に「手数料無料の条件」をしっかり確認し、万が一追加料金が発生する場合の理由を明記してもらうことが重要です。

諸費用が相場より高かった

仲介手数料が無料でも、その他の諸費用に関しては相場以上の料金を請求されることがあります。

例えば、登記費用や契約書類の作成費用、保険料などが通常よりも高く設定されている場合があります。

これらの費用は、不動産会社の言い値に任せてしまうと、最終的に予算を大幅に超えて支払うことになりかねません。

トラブルを避けるためには、事前に相場を調べて、費用が不当に高くないか確認することが大切です。

また、複数の不動産会社に相談し、見積もりを比較することで、納得できる価格で取引を進めることができます。

契約後の担当者の対応が雑だった

仲介手数料無料を掲げている不動産会社において、契約後の担当者の対応が不親切だったり、雑だったりするケースもあります。

特に、手数料が無料であることを強調している不動産会社では、販売手数料が発生しないため、担当者のモチベーションが低下していることもあり、取引が進行するにつれて連絡が遅くなったり、対応が後回しにされることがあります

こうした問題を避けるためには、契約前にスタッフの対応や評判を調べることが有効です。

また、契約後もこまめに進捗状況を確認し、しっかりとした対応を求める姿勢を持つことが重要です。

仲介手数料無料は罠?仕組みとからくり

仲介手数料無料を提供している不動産会社を選ぶ際、少し疑問に思うことがあるかもしれません。

「無料ということは、何か裏があるのでは?」と思う方も多いかもしれませんが、実際にはこれが必ずしも「罠」であるわけではありません。

では、どのようにして無料が実現されているのか、その仕組みを理解することが重要です。

不動産会社自体が買主である

一つの理由として、不動産会社が物件の買主となっているケースがあります。

特に買取業者が所有する物件の場合、物件の買い取り後にリフォームを行い、その物件を再販売する仕組みです。

この場合、不動産会社は物件の仕入れ時にすでに売主に対して手数料を支払っており、買主となることで手数料が不要になることがあります。

つまり、購入者に対して仲介手数料を請求しなくても収益を得ることができるため、手数料無料が実現できるのです。

このような物件は、購入後にリフォームして販売することが前提となっているため、手数料無料というのは一つの販売戦略として機能します。

ほかの経費を抑えている

仲介手数料が無料となるもう一つの理由は、広告費や店舗費用など、その他の経費を大幅に削減している不動産会社があるからです。

近年、ネット広告が主流となり、紙面広告や店舗の運営費を削減できるため、コストを抑えることが可能となっています。

たとえば、インターネット経由での集客をメインにしている業者では、広告費を抑えることができ、これを仲介手数料の無料化に充てることができます。

また、無店舗型の営業スタイルを取ることで、事務所や店舗にかかるコストもカットされています。

これらの経費削減が、結果として「仲介手数料無料」の提供に繋がっているのです。

無料が罠ではない理由

このように、仲介手数料無料というサービスには、決して裏があるわけではなく、むしろ経費削減や販売戦略によって実現されているケースが多いです。

つまり、無料だからといって過剰に不安に思う必要はなく、その仕組みを理解することで、賢く活用することができると言えます。

もちろん、事前に会社の信頼性やサービス内容をしっかりと確認することは大切ですが、仲介手数料無料は必ずしも「罠」ではなく、合理的なビジネスモデルとして成り立っている場合が多いのです。

まとめ

仲介手数料無料の不動産取引にはメリットもあればデメリットも存在します。

メリットとしては、初期費用を抑えられることや、住宅ローンが通りやすくなる場合が挙げられます。

しかし、デメリットやトラブルも少なくなく、例えば他の諸費用が上乗せされる可能性や、値引き交渉に応じてもらえないケース、さらに物件自体が少ないという点が挙げられます。

また、売却時には両手取引による囲い込みが発生しやすく、売出し価格が低く設定される可能性もあります。

さらに、仲介手数料無料に見せかけて、他の名目で費用が請求されたり、担当者の対応が雑だったりすることもあります。

しかし、これらの仕組みを理解しておくことで、無料が必ずしも罠ではないことがわかります。不動産会社が物件の買取業者であったり、手数料の上限が法的に決まっていることも知っておくべき重要な点です。

無料のサービスを選ぶ際には、事前に全体的な費用や仕組みを確認し、慎重に判断することが大切です。