- 宅建業者が自ら売主になると仲介手数料は発生しない
- 売主が仲介手数料を請求することは違法になる
- 直接取引の場合はトラブルリスクが高まる為慎重に!
不動産売買では仲介手数料が発生するのが一般的です。物件価格によっては100万円を超えることもあり、大きな負担になります。
しかし、宅建業者が自ら売主になる場合は仲介ではないため、原則として仲介手数料は発生しません。それにもかかわらず、売主物件なのに手数料を請求されたというケースもあり、状況によっては違法となるため注意が必要です。
小島解説員
山口編集者
この記事では、仲介手数料の基本ルールや早見表、宅建業者が自ら売主になる場合の仕組みや注意点について、詳しく解説していきます。
不動産売買時の仲介手数料とは

不動産売買時に発生する仲介手数料とは、不動産仲介業者が売主や買主から徴収する手数料のことを指します。
この手数料は、不動産の売却や購入において、仲介業者が取引をスムーズに進行させ、売主と買主を引き合わせるためのサービスに対して支払われるものです。
手数料の額は、通常、不動産の取引価格に基づいて一定の割合で計算されます。
不動産売買の仲介手数料の計算方法と上限
不動産売買における仲介手数料には法律で上限が定められており、400万円を超える物件の場合、「売買価格×3%+6万円+消費税」がその上限となります。
この上限を超えて仲介手数料を請求することは違法です。しかし、下限は設けられていないため、取引の際には手数料について交渉する余地があります。
渡邊編集者
仲介手数料の早見表一覧
不動産売買における仲介手数料は、取引額に応じて上限が定められています。実際の金額感を把握しやすいよう、代表的な価格帯を一覧にまとめました。
| 取引額(売買価格) | 仲介手数料(上限) |
| 800万円以下 | 330,000円 |
| 1,000万円 | 396,000円 |
| 2,000万円 | 726,000円 |
| 3,000万円 | 1,056,000円 |
| 3,500万円 | 1,221,000円 |
| 4,000万円 | 1,386,000円 |
| 4,500万円 | 1,551,000円 |
| 5,000万円 | 1,716,000円 |
たとえば、3,000万円の物件であれば上限は1,056,000円(税込)となります。
従来は売買価格に応じて料率で計算するのが原則でしたが、宅建業法における仲介手数料の改正により、800万円以下のケースでは上限額が33万円(税込)で明確に設定されました。
山口編集者
小島解説員
このように、売買価格によって仲介手数料の上限は変わりますが、いずれも法律で定められた上限額である点が重要です。具体的な制度の根拠については、次章で解説します。
宅建業法では仲介手数料はどのように定められている?【法律上の根拠】
仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法第46条および国土交通大臣の告示に基づいて定められています。(参照元;デジタル庁法令検索)
宅建業者は、「媒介(仲介)」または「代理」として不動産取引に関与した場合にのみ報酬を受け取ることができます。そして、その報酬額には法律上の上限が設けられています。
つまり、仲介手数料は慣習や業界ルールではなく、法律に基づいて厳格に管理されているものです。
この上限を超えて報酬を受け取った場合、業務停止処分や指示処分などの行政処分の対象となります。
小島解説員
宅建業者が自ら売主になる場合の仲介手数料

冒頭で述べたように、売主と直接取引を行う場合、仲介手数料はかかりません。
これは、「仲介手数料」が仲介を行った不動産会社に対する報酬であるため、仲介が行われなければ手数料も発生しないからです。
このルールは、売主が宅建業者である場合でも同様で、仲介手数料は発生しません。また、宅建業者自身が買主となる場合でも、仲介手数料はかかりません。
まずは、不動産売買における仲介手数料について、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 媒介契約とは?自ら売主との違い
- 仲介手数料が無料というメリット
- 仲介会社が行う業務の内容
媒介契約とは?自ら売主との違い
仲介手数料が発生するのは、媒介契約がある場合です。
媒介契約とは、売主または買主が不動産会社に対し、「相手方を探してほしい」と依頼する契約のことをいいます。
不動産会社はこの依頼に基づいて、物件紹介や交渉、契約書の作成などを行い、その報酬として仲介手数料を受け取ります。
一方で、宅建業者が自ら売主として物件を販売する場合は、買主との間に媒介契約は存在しません。あくまで当事者として取引を行う立場だからです。
そのため、仲介という業務自体が発生しておらず、仲介手数料も発生しないという仕組みになっています。
仲介手数料が無料というメリット
仲介手数料は、不動産の売買金額に応じて以下のように利率が異なります。また、売主が宅建業者であった場合でも、この仲介手数料の消費税や利率は変わりません。
| 売買価格 | 仲介手数料率(上限) |
| 200万円未満 | 売買金額×5% |
| 200万円超~400万円以下 | 売買金額×4%+2万円 |
| 400万円超 | 売買金額×3%+6万円 |
例えば、不動産の売買価格が2,500万円であれば、「2,500万円×3%+6万円」に消費税(10%)を加算し、89.1万円が仲介手数料の上限となります。
小島解説員
仲介会社が行う業務の内容
一般的に、不動産売買では売主と買主の間に仲介会社が入り、以下のような業務を担当します。
- 売主への物件紹介
- 買主との交渉
- 売買契約書類の作成
- 引き渡しまでのサポート
要するに、物件探しから引き渡しまでの「不動産売買」に関わるすべての手続きを、不動産会社がサポートしてくれるのです。
一方、売主から直接購入する場合、仲介会社がこれらの業務を行わないため、仲介手数料を支払う必要がありません。
小島解説員
売主が仲介手数料を請求するのは違法!

宅建業者以外の者が不動産取引で仲介手数料を請求することは、宅建業法に違反し、違法行為となります。
もちろん、売主が不動産業者を介さずに直接買主と取引すること自体には問題はありませんが、この場合、仲介手数料を請求することはできません。
このルールは、不動産業者が売主として物件を直接販売する場合にも適用され、また、不動産会社が買主として物件を直接購入する場合でも、仲介手数料を請求することはできません。
仲介手数料は、取引を円滑に進めるために発生する業務への報酬です。そのため、仲介業務が存在しない直接取引では、仲介手数料が発生しないのです。
もし、売主から仲介手数料を請求された場合は、トラブルを避けるためにも、第三者機関に相談するか、売主が不動産業者であれば管轄の監督官庁に事情を報告するのが良いでしょう。
渡邊編集者
売主なのに仲介手数料が必要と言われたら?
繰り返しになりますが、売主から直接不動産を購入する場合、仲介手数料は発生しません。
しかし、もし「仲介手数料が必要」と言われた場合、まず「誰に」その手数料を支払う必要があるのかを確認しましょう。
そこで初めて不動産仲介業者の名前が出てきた場合には、仲介業者とは取引をしていない旨を明確に伝え、相手の対応を見守ります。
相手に不都合がある場合、こちらが正当な主張をすれば、相手はすぐに引き下がるはずです。それでも問題が解決しない場合には、弁護士や不動産コンサルタントの助言を求めることも一つの方法です。
売主と直接取引する際の注意点

前述の通り、売主と直接不動産取引を行うことは可能ですが、以下のような注意点があります。
- 金融機関の斡旋がない
- 契約不適合責任などの重要事項に注意が必要
- 重要書類の作成を自分で行う必要がある
結論として、売主と直接不動産売買を行うことは不可能ではありませんが、これらの注意点を考慮すると、現実的ではないことが多いです。
もし仲介手数料を抑えたいのであれば、仲介手数料率を低く設定している不動産会社を選ぶのが賢明でしょう。
小島解説員
金融機関の斡旋がない
通常の不動産売買では、仲介を担当する不動産会社が金融機関を紹介し、ローンの手続きをサポートします。
しかし、売主から直接不動産を購入する場合には、不動産会社のサポートがないため、ローンを組む金融機関を自分で見つける必要があります。
契約不適合責任など重要事項に注意
不動産売買には、「契約不適合責任」といった重要な項目があります。簡単に言うと、契約不適合責任とは「物件に瑕疵(欠陥)があった場合に売主に責任を問う権利」のことです。
つまり、引き渡し後に物件が契約内容と異なる場合、売主に補修を求めたり、損害賠償を請求したりできるかどうかという問題です。しかし、契約不適合責任の範囲や期間については、初心者には理解しにくいことが多いです。
重要書類の作成を行う必要がある
前述の「不動産売買で知っておくべきこと」は、通常、重要事項説明書に文章化されます。また、重要事項説明書のほかにも、売買契約書や設備の故障などを確認する「付帯設備確認表」などの書類が必要です。
これらの書類作成は通常、不動産会社が担当します。しかし、売主から直接不動産を購入する場合には、これらの書類も自分で作成しなければなりません。
小島解説員
渡邊編集者
まとめ
このように、売主から直接不動産を購入することで仲介手数料が無料になるというメリットがあります。
しかし、不動産会社が関与しないことで不動産売買に関するリスクが大きくなるため、その点については十分に理解しておく必要があります。

