- 仲介手数料無料になるからくりを解説
- 仲介手数料無料の罠や落とし穴とは?トラブルを未然に防ぐために
- 仲介手数料無料になる物件の見分け方
不動産を売買する際、多くの方が耳にする「仲介手数料」。しかし、その仕組みや計算方法について詳しく理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。
特に最近注目されている「仲介手数料無料」のサービスは、本当に信頼できるのか、不安を抱く方も多いはずです。
この記事では、不動産仲介手数料の基本的な仕組みと、その「無料」のからくり、注意すべきデメリットを詳しく解説します。
また、仲介手数料無料のサービスを提供する不動産会社を選ぶ際に、どのような点に注目すれば信頼できる会社を見極められるかについても触れています。
「無料」に飛びつく前に、不動産取引で後悔しないための知識を身につけましょう。
山口編集者
- そもそも仲介手数料とは?
- 仲介手数料が無料になるからくり
- 仲介手数料無料の注意点やデメリット
- 仲介手数料無料でも安心!信頼できる不動産会社の選び方
- 値引き交渉可能な物件の見分け方
- 仲介手数料無料の不動産会社は信頼できる?からくりに惑わされないポイント
- 仲介手数料無料と両手取引における手数料調整の違い
- まとめ|仲介手数料無料のからくりを理解してトラブルを回避しよう
そもそも仲介手数料とは?
仲介手数料とはどういったものなのでしょうか。まずはその仕組みや上限金額についても解説します。
仲介手数料(仲介業務)の内容
仲介手数料とは、不動産取引の際に不動産会社に支払う報酬のことです。
小島解説員
仲介手数料は不動産取引において重要な役割を果たしており、その意義や仕組みを理解することは、取引を成功させるために欠かせません。
仲介手数料の背後には、不動産業者が提供する多くの専門知識やサービスへの対価という意味合いがあります。
顧客一人ひとり異なる希望条件に合致する物件を選定し、提案し、複雑な契約手続きをスムーズにすすめるためには高度な知識と能力が必要とされます。
こうした一連のサービスを受けるにあたって支払われるべき対価が仲介手数料であり、不動産会社の大きな収入の柱でもあるのです。
仲介手数料の計算方法
日本の法律(宅地建物取引業法)では、仲介手数料の上限が定められています。
例えば、3000万円の物件の場合、仲介手数料は105.6万円となります。
仲介手数料は上限が決まっている
この計算方法は、取引の規模に応じて手数料が比例的に増減するため、公正な仕組みといえます。
また、消費者保護の観点から売買価格の一定割合を超えないように上限額が決まっています。
取引き金額に応じて仲介手数料の上限が異なります。
売買取引金額 | 仲介手数料の上限 |
200万円以下 | 売買金額×5%+消費税 |
200万円以上400万円以下 | 売買金額×4%+消費税 |
400万円以上 | 売買物件×3%+消費税 |
渡邊編集者
小島解説員
仲介手数料が無料になるからくり
結論として、仲介業者は仲介手数料を完全に放棄しているわけではありません。
仲介手数料無料としながらも、収入を得るためのカラクリや罠が存在します。
仲介手数料が無料になるカラクリは主に、仲介手数料に代わる費用が発生しているケースや、企業努力による人件費や広告費の削減などが考えられます。
一概に危険・怪しいというわけではなく、企業戦略の一つとして無料にしている会社が多いと言えます。
小島解説員
買取業者が所有する物件である
売買の場合、売主が買取業者であれば仲介手数料が無料になります。
買取業者は買い取った物件をリフォームして販売し、収益を上げています。
買取時に買取業者が売主に仲介手数料を支払っているため、買取業者から物件を購入する際には仲介手数料がかかりません。
また、新築戸建の場合も業者が直接買主と契約するため、仲介手数料が発生しません。
買取業者から仲介手数料を受け取っている
不動産売却時に仲介手数料が無料になる理由の一つは、買取業者から仲介手数料を受け取るケースです。
売主または買主のどちらかが仲介手数料を支払うことで、もう一方は無料になります。
買取業者は物件を仕入れ、再販することで利益を上げます。
そのため、不動産会社が入居者を仲介してくれることが重要で、物件仕入れのお礼として買取業者が不動産会社に仲介手数料を支払うパターンが多いのです。
渡邊編集者
小島解説員
売出し価格が低く設定される
売主が早く買主を見つけたい場合、仲介手数料を無料にする代わりに売出し価格が低く設定されることがあります。
これにより、不動産会社の利益は変わらず、売主側のみが実質的に収入を減らすことになります。
広告費などの経費を抑えている
新聞折込や掲示用ポスター、住宅情報誌などの紙面広告は反響も得られやすいですが、コストが高く業者の負担も大きいです。
しかし、今の時代は紙面広告よりもネット広告が主流となり、コストも大幅に抑えることができます。
例えば、紙媒体ではなくネット広告で集客する方法、無店舗型の経営で事務所や店舗費用を削減する方法などがあります。
ネット広告に注力している業者は、仲介手数料分のコストカットがしやすいです。
業者の中には、ネット経由で問い合わせした人に限り仲介手数料無料、もしくは半額にするケースもあります。
仲介手数料に頼らず収入を得ている
仲介手数料以外の収入を得ることで、仲介手数料無料にできるビジネスモデルも存在します。
具体的には、賃貸業や賃貸管理料、住宅(土地)販売、リフォームなどです。
仲介手数料無料に買い手側が損をするようなからくりは無い
仲介手数料が無料になるということで、不動産会社が損をすることはありません。
仲介手数料無料の注意点やデメリット
先ほど、仲介手数料無料の理由について解説しましたが、不動産の売却においても仲介手数料が無料になる場合があります。
他の費用項目で請求される可能性がある
売却時には仲介手数料ではなく他の費用項目で請求するケースがあります。
売却に関しては、コンサルティング手数料や物件調査費、出張費、広告宣伝費などが設定されることがあり、仲介手数料よりも費用がかさむ場合があります。
しかし、法律では仲介業務に必要な費用以外は売主に請求できません。
仲介手数料無料ということは、不動産会社がその費用を負担することを意味します。本来は売主が支払う必要のない費用ということです。
小島解説員
大事なことは、かかる費用項目を明確に説明してくれるかどうかです。
もしも、担当者に不安を覚えた場合は一度出してもらった費用項目を弁護士などに確認してもらうのも一つの手でしょう。
担当営業マンのやる気がない可能性
絶対、接客したくない。
経費のがかかる。
仲介手数料無料の不動産へどうぞ。
って言う。
営業からしたら頑張る気を最初から
削がれる https://t.co/CRDiEZJAWE— コぉ【猫溺愛🀄】 (@ko8888t) August 30, 2022
最初から仲介手数料無料の物件を紹介してもらうと効率的ですが、営業マンによっては自身へのサービスの対価を支払いたくないと言われているようなものですから、熱心に良い物件を紹介しようという意欲が薄れることもあります。
会社の集客の一環として仲介手数料無料を打ち出している不動産会社なら構いませんが、特別そういった集客方法をとっていない不動産会社ではおすすめできません。
小島解説員
トラブルが起きたら逃げられる?
仲介手数料無料を謳う不動産屋ってなんなんだろう…。仮にも不動産のプロなら、きっちり報酬もらってお客様に満足してもらえる接客・対応をすればいいと思う。もしや、トラブって都合が悪くなったら何も解決せずに逃げるつもりなんじゃないか…と思ってしまうのは私だけ?😰
— 株式会社みつばち不動産@静岡県藤枝市 (@328estatecoLtd) December 6, 2022
仲介手数料には、手続きや接客にかかる人件費も含まれています。
そのため、仲介手数料を取らない場合、満足できるサービスが受けられない可能性もあります。
もちろん、宅建業法上契約がスムーズに進むよう必要な手続きはしてくれるはずですが、対応スピードや接遇などは期待外れになる可能性もあります。
小島解説員
仲介手数料無料でも安心!信頼できる不動産会社の選び方
仲介手数料無料の物件には背後に仕組みがありますが、多くの場合、不動産会社を介して契約を行うことになります。
そのため、信頼できる不動産会社を選ばないと、思わぬトラブルに発展する可能性があります。
ここでは、不動産契約における優良な不動産会社を選ぶための3つのポイントについて説明します。
- 実績豊富
- 企業努力で客付けしている
- トラブルが起きないよう仲介責任をきちんと果たす
1. 実績豊富な会社を選ぶ
不動産取引の実績が豊富な会社は、メガバンクを含む多くの銀行と取引があり、物件購入時の事前審査やローンの申し込みがスムーズに進みます。
一方で、新設の不動産会社は大手金融機関との取引が少なく、仮審査の段階から入居希望者が直接銀行に出向く必要がある場合があります。
トラブルを避けるためには、実績と経験の豊富な不動産会社を選ぶことが重要です。
2. 企業努力で客付けしている会社を選ぶ
仲介手数料を無料にするためには、人件費や広告費の削減などの企業努力が欠かせません。
特に売却を考える際は、ネットを中心に広告展開をしている不動産会社を選ぶと良いでしょう。
3. 仲介責任を果たす会社を選ぶ
仲介業務には、契約相手の募集、物件の調査、重要事項説明書の交付や説明など多岐にわたる内容が含まれます。
不動産会社にはこれらの業務を適切に遂行する責任があり、注意義務や説明義務を果たさない場合、後々トラブルに発展することがあります。
小島解説員
値引き交渉可能な物件の見分け方
ここからは仲介手数料無料、または仲介手数料を値引きしてもらえる物件を見分けるためのポイントをいくつか紹介します。
複数の不動産会社が広告に出している
同じ物件が複数の不動産会社によって広告されている場合、一般媒介契約の可能性が高いです。
消費税のある物件
建売やリノベーション物件など、売主が業者である場合、仲介手数料がかかりません。販売価格に「税込」と表記されている場合、売主が業者である可能性が高いです。
なぜなら販売物件は課税対象のため、税込み価格での表示が基本ルールになっているからです。
リノベーション済みの中古マンション・戸建て
リフォームやリノベーションには多額の費用がかかるため、個人で行うケースは稀です。つまり、市場にあるリノベされている物件は業者が売主であることがほとんどと言えます。
この場合、消費税が課税されるため、仲介手数料がかかりません。
新築一戸建て
新築一戸建ても同様に、商品物件として消費税が課税され、仲介手数料がかかりません。
売主が個人かつ不動産会社を利用していない
売主から直接不動産を購入する場合、仲介手数料は不要です。
小島解説員
物件の現況
物件情報の現況が「居住中」の場合は不動産会社の仲介が入っていると考えられます。
一般の人が売主の場合は、なるべく空室期間を減らすために居住中に物件の買い手を見つようと動き出すことが多いです。もちろんそのバックには不動産会社の仲介が入っていることが推測できます。
現状売り・リフォーム後に入居歴がある
リノベーションやリフォームには多額の費用がかかります。
物件を売り出す際にそうした施工がされず、現状売りの物件は個人が売主である可能性が高く、その背後にはもちろん不動産会社の仲介が入っています。
したがって、こうした現状売り物件は仲介手数料が無料になることは少ないです。
さらに、リフォーム後すぐの物件は業者が売主のケースが非常に多いですが、リフォーム後に入居歴がある物件は個人が売主である可能性が高いです。
これも同様に仲介手数料無料にはなりにくいでしょう。
専属専任物件である
専任媒介契約は仲介を挟まずに契約できますが、専属専任物件は共同仲介となるため、手数料が無料になることはありません。
小島解説員
仲介手数料無料または割引交渉できるかはオーナー次第
仲介手数料が無料になるか、割引されるかは、最終的にはオーナーの判断に左右されます。
特に不動産売買の場合、通常は不動産会社が仲介業務を行うため、仲介手数料が発生します。したがって、仲介手数料を無料にできるかどうかは、売主が業者でない限りはっきりしない場合があります。
小島解説員
渡邊編集者
仲介手数料無料の不動産会社は信頼できる?からくりに惑わされないポイント
渡邊編集者
小島解説員
- キャッシュバックに踊らされない
- 契約時期を迫ってきたら要注意!
キャッシュバックに踊らされない
まず一つ目は、キャッシュバックに注意することが重要です。
不動産業界には仲介手数料無料に加えてキャッシュバックをうたう会社もありますが、実際には利用できる範囲や条件が限定されていたり、口約束で結局キャッシュバックされなかったりと、トラブルに発展する可能性があるのです。
また、キャッシュバックの税務処理にも注意が必要です。
契約時期を迫ってきたら要注意!
契約を迫る不動産会社には警戒が必要です。
業務の厳しさから早期に契約を促し、少しでもノルマ達成に近づけたいという思いがあるのでしょう。営業電話がしつこかったり、無理な売り込みが続く場合、不動産会社の信頼性に疑問が生じることもあります。
特に、緊急でもないの早朝や深夜まで連絡
仲介手数料無料と両手取引における手数料調整の違い
不動産売買において、購入や売却をする際に不動産会社に仲介を依頼するのが一般的です。
この場合、一つの不動産会社が売主と買主の両方を担当することを「両手取引」と呼び、不動産会社は売主と買主の両方から仲介手数料を得ることができます。
両手取引とは?
売主と買主にそれぞれ異なる不動産会社が入る「片手取引」に対して、両手取引では不動産会社が得られる仲介手数料が倍になるため、不動産会社にとって利益が大きくなります。
渡邊編集者
さらに、買主が価格交渉を行う際に、売主が負担する仲介手数料を減額する「手数料調整」が行われることがあります。
特に、新築一戸建てやリノベーション物件など、売主が業者である場合によく見られる手法です。
手数料調整の仕組み
手数料調整による価格交渉の際、仲介手数料の減額は約3%が上限となります。
小島解説員
仲介手数料無料と手数料調整のどちらが負担増か?
買主の要望によって売主側の仲介手数料が減額された場合でも、売主は収入を確保できます。これにより、売主側の仲介手数料が無料になるとも解釈でき、売主と買主のどちらの負担額も変わりません。
不動産会社の視点から見ると、手数料調整で対応するか、買主が仲介手数料無料を希望するかの違いだけで、実質的な収入は変わりません。
支払いの面だけを見れば、仲介手数料無料も手数料調整も同じというわけです。
買主は要注意?!手数料調整のデメリット
ただ、手数料調整では、支払い額以外の側面で差が生じることがあり、場合によっては買主が不利になることがあります。
例えば、物件価格以外の資金が増えることで、ローンの比率が上がり、金利面で不利になることがあります。最悪の場合、ローン審査が通らないこともあります。
渡邊編集者
をしてくるような会社は社員の労働管理も徹底できていないブラックな会社の可能性がありますのでトラブルにつながる危険もあり、要注意です。
まとめ|仲介手数料無料のからくりを理解してトラブルを回避しよう
ここまで、仲介手数料が無料になるからくりについてお話しました。不動産会社にとって仲介手数料は収入源の大きな柱です。企業努力で無料にしているところもあれば、別の請求に上乗せしたり、名目だけを変えて徴収している会社もあり様々です。
見極めるにはそれなりの知識が必要になります。信頼できる不動産会社なのか、請求書におかしな点はないかなどよく確認して契約を進めるようにしてください。
おいしい話には必ず裏があります。仲介手数料無料ということは、見えないからくりがあり、トラブルが生じる危険性も潜んでいるということを覚えておく必要があります。
小島解説員