仲介手数料無料のからくりとは?デメリットも解説【賃貸・売買】

仲介手数料無料のからくりとは?デメリットも解説【賃貸・売買】


この記事を書いた人
小島 優一
宅地建物取引士

宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士。生命保険会社にてリテール業務に従事した後、2014年に不動産仲介会社であるグランドネクスト株式会社を設立。 2021年より幻冬舎ゴールドオンラインにて不動産を通じて財産を守る、増やす、残す記事を連載している。 >> 詳細はこちらから

この記事のまとめ
  • 仲介手数料無料になるからくりとは?デメリットも解説
  • 仲介手数料無料の罠や落とし穴とは?トラブルを未然に防ぐために
  • 仲介手数料無料になる物件の見分け方

不動産を売買する際に必要となる「仲介手数料」。

しかし、その具体的な内容や計算方法について詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。

この記事では、不動産仲介手数料の仕組み、その背景、内訳、なぜ無料にできるのか、無料にしてもらうためには?について詳しく解説します。

目次
  1. 仲介手数料が無料になるからくり
  2. 仲介手数料無料のデメリット
  3. そもそも仲介手数料とは?
  4. 仲介手数料無料と両手取引における手数料調整の違い
  5. 不動産業者が教える仲介手数料無料の注意点
  6. 値引き交渉可能な物件の見分け方
  7. 仲介手数料無料でも安心!トラブルを防ぐ不動産会社の選び方(売買・売却)
  8. 仲介手数料無料の不動産会社は信頼できる?からくりに惑わされないポイント
  9. まとめ|仲介手数料無料のからくりを理解してトラブルを回避しよう

仲介手数料が無料になるからくり

仲介手数料無料のからくり①の見出し画像

結論として、仲介業者は仲介手数料を完全に放棄しているわけではありません。

仲介手数料無料としながらも、収入を得るためのカラクリや罠が存在します。

仲介手数料が無料になるカラクリは主に、仲介手数料に代わる費用が発生しているケースや、企業努力による人件費や広告費の削減などが考えられます。

一概に危険・怪しいというわけではなく、企業戦略の一つとして無料にしている会社が多いと言えます。

ここでは、賃貸や売買契約に関わる仲介手数料無料のカラクリについて詳しく紹介します。

小島解説員小島解説員

オーナーが仲介手数料を負担する場合

仲介手数料には宅地建物取引業法で定められた上限がありますが、この上限さえ守ればオーナー(売主・貸主)と買主・借主のどちらが負担するかは問題ありません。

例えば「仲介手数料半額」と謳う賃貸専門の仲介会社では、貸主・借主それぞれに家賃の0.5ヶ月分の仲介手数料を請求することで、仲介手数料を半額にすることができます。

同様に、売主・貸主に仲介手数料を100%負担してもらい、買主・借主に対して免除することで、仲介手数料無料にすることが可能です。

買取業者が所有する物件である

売買の場合、売主が買取業者であれば仲介手数料が無料になります。

買取業者は買い取った物件をリフォームして販売し、収益を上げています。

買取時に買取業者が売主に仲介手数料を支払っているため、買取業者から物件を購入する際には仲介手数料がかかりません。

また、新築戸建の場合も業者が直接買主と契約するため、仲介手数料が発生しません。

物件にAD(広告料)がついている

渡邊編集者渡邊編集者

「AD」ってなんですか?

オーナーや管理会社から支払われる広告料のことで、「Advertising(広告)」の頭文字から来ている用語です。

小島解説員小島解説員

仲介業者にとって、ADは仲介手数料以外で得られる利益でもあるため、借主から仲介手数料をもらわないことがあります。

もちろん、借主から仲介手数料をもらい、オーナーからもADを受け取る「両手商売」をする業者もいます。

ADが入ることを前提として仲介手数料を無料とし、成約率を上げる仲介会社も最近は多いですよ。

小島解説員小島解説員

集客や実績づくりなど別の目的で掲示している

仲介手数料無料の物件を会社のPRとして利用するケースもあります。例えばポータルサイトの物件情報に「仲介手数料無料」と明記することで、集客がアップします。

広告費がかけられない業者や、人手が足りない業者、また実績がなく集客が難しい業者の場合、仲介手数料無料の物件を打ち出すことで大きな反響を得ることが可能です。

人件費を減らしている

賃貸・売買に関わらず、物件を成約に結びつけるためには内見や書類上の手続きなど、スタッフによる営業活動が必要です。しかし、営業活動に伴う人件費は大きな負担です。

そこで、スタッフによる営業を減らすことで人件費を削減し、仲介手数料を無料にしている業者も存在します。

例えば、一般的な不動産会社では要望に応じて物件を探す作業が発生します。

しかし、仲介手数料無料の業者では、自社で物件を探さず、顧客から希望があった物件を紹介するケースも珍しくありません。

渡邊編集者渡邊編集者

顧客のニーズをくみ取ってより良い物件を提案してもらいたいものですが…あくまで「紹介」だけなのですね。

広告費を抑えている

新聞折込や掲示用ポスター、住宅情報誌などの紙面広告は反響も得られやすいですが、コストが高く業者の負担も大きいです。

しかし、今の時代は紙面広告よりもネット広告が主流となり、コストも大幅に抑えることができます。

ネット広告に注力している業者は、仲介手数料分のコストカットがしやすいです。

業者の中には、ネット経由で問い合わせした人に限り仲介手数料無料、もしくは半額にするケースもあります。

仲介手数料無料と謳ってはいるが…家賃に上乗せしているケース

実際には、家賃に仲介手数料分の費用を上乗せしていたり、値引きに応じることを前提にはじめから高めの価格設定で物件を売り出すケースはよくあります。

渡邊編集者渡邊編集者

「契約するなら仲介手数料を無料にしますよ!」という感じで、買主や借主にお得感を抱かせるパターンですよね。けど仲介手数料が無料でも、元々の価格が高いのであれば得したことにはなりませんよね。

ルームクリーニングや室内消毒費などといった名目を請求書で見たことありませんか?仲介手数料を無料にするにはこうしたオプション項目を契約しないといけないケースもよく目にします。

小島解説員小島解説員

仲介手数料に頼らず収入を得ている

仲介手数料以外の収入を得ることで、仲介手数料無料にできるビジネスモデルも存在します。

具体的には、賃貸業や賃貸管理料、住宅(土地)販売、リフォームなどです。

MEMO

収入も集客も安定している不動産会社だからこそ、仲介手数料が無料になるケースもあります。

サブリース物件である(賃貸)

サブリース物件(転貸物件)とは、オーナー(貸主)とサブリース会社(借主)が賃貸契約を結び、サブリース会社が入居者に転貸するスタイルの物件です。

この場合、入居者との契約は貸主ではなく借主が行うため、仲介手数料が発生しません。

注意

サブリース物件は仲介手数料が発生しない代わりに、サブリース会社の利益が家賃に上乗せされるのがポイントです。

また、入居時にサービス利用料などの追加費用が発生することもあるので注意が必要です。

小島解説員小島解説員

不動産会社の自社管理物件である(賃貸)

不動産会社が管理業務も請け負っている場合、オーナーから仲介手数料やADが受け取れるため、入居者から仲介手数料を取らないことがあります。

また、不動産会社が所有する物件なら仲介が行われないため、仲介手数料が発生しません。

注意

とはいえ、不動産会社の自社管理物件は数が少なく、希望条件に合う物件が探しにくいというデメリットがあります。

仲介手数料無料のカラクリは多岐にわたる

これまでに紹介したように、仲介手数料が無料になるカラクリはさまざまです。

渡邊編集者渡邊編集者

初期費用が抑えられるというメリットがあっても、ポイントを理解しなければかえって出費が増えるケースもありますよね。

そうなんです。仲介手数料無料の理由や物件のマイナスポイントをしっかり確認し、入居を決める前に注意深く見極めることが重要です。

小島解説員小島解説員

仲介手数料無料のデメリット

仲介手数料無料のデメリットの見出し画像

先ほど、賃貸や売買における仲介手数料無料の理由について解説しましたが、不動産の売却においても仲介手数料が無料になる場合があります。

買取業者から仲介手数料を受け取っている

不動産売却時に仲介手数料が無料になる理由の一つは、買取業者から仲介手数料を受け取るケースです。

売主または買主のどちらかが仲介手数料を支払うことで、もう一方は無料になります。

買取業者は物件を仕入れ、再販することで利益を上げます。

そのため、不動産会社が入居者を仲介してくれることが重要で、物件仕入れのお礼として買取業者が不動産会社に仲介手数料を支払うパターンが多いのです。

渡邊編集者渡邊編集者

要するに、買取業者が買主なら仲介手数料が無料になるわけですね。

そうですね。ただし、必ずしも無料になるわけではなく、そのようなケースが多いというだけです。買主が誰かで判断するのではなく、仲介手数料の有無をしっかり確認しましょう。

小島解説員小島解説員

他の費用項目で請求している

賃貸や売買契約と共通する点ですが、売却時にも仲介手数料ではなく他の費用項目で請求するケースがあります。

売却に関しては、コンサルティング手数料や物件調査費、出張費、広告宣伝費などが設定されることがあり、仲介手数料よりも費用がかさむ場合があります。

しかし、法律では仲介業務に必要な費用以外は売主に請求できません。

仲介手数料無料ということは、不動産会社がその費用を負担することを意味します。本来は売主が支払う必要のない費用ということです。

ただし、売主が特別に依頼した業務については実費を請求できます。売却時には、仲介手数料以外の費用が発生していないか、費用明細を確認しましょう。

小島解説員小島解説員

売出し価格が低く設定される

売主が早く買主を見つけたい場合、仲介手数料を無料にする代わりに売出し価格が低く設定されることがあります。

これにより、不動産会社の利益は変わらず、売主側のみが実質的に収入を減らすことになります。

企業努力でコストを抑えている

賃貸や売買契約と同様に、企業努力で経費を削減し、仲介手数料を無料にする会社もあります。

例えば、紙媒体ではなくネット広告で集客する方法、人件費を抑えるための業務見直し、無店舗型の経営で事務所や店舗費用を削減する方法などがあります。

不動産会社側のデメリットはほぼない

仲介手数料が無料になるということは、他の収入源があるということです。

MEMO

つまり、仲介手数料を無料にしても、不動産会社が損をすることはほとんどありません。

そもそも仲介手数料とは?

仲介手数料とはどういったものなのでしょうか。ここではその仕組みや上限金額についても解説します。

仲介手数料(仲介業務)の内容

仲介手数料とは、不動産取引の際に不動産会社に支払う報酬のことです。

具体的には、物件の紹介、売買契約の調整、契約書の作成、手続きのサポートなど、取引を円滑に進めるためのさまざまな業務に対する対価です。

小島解説員小島解説員

仲介手数料は不動産取引において重要な役割を果たしており、その意義や仕組みを理解することは、取引を成功させるために欠かせません。

仲介手数料の背後には、不動産業者が提供する多くの専門知識やサービスへの対価という意味合いがあります。

顧客一人ひとり異なる希望条件に合致する物件を選定し、提案し、複雑な契約手続きをスムーズにすすめるためには高度な知識と能力が必要とされます。

こうした一連のサービスを受けるにあたって支払われるべき対価が仲介手数料であり、不動産会社の大きな収入の柱でもあるのです。

仲介手数料の計算方法

日本の法律(宅地建物取引業法)では、仲介手数料の上限が定められています。

MEMO

一般的には仲介手数料は、売買価格の3%+6万円+消費税という計算式で設定されます。

例えば、3000万円の物件の場合、仲介手数料は105.6万円となります。

仲介手数料は上限が決まっている

この計算方法は、取引の規模に応じて手数料が比例的に増減するため、公正な仕組みといえます。

また、消費者保護の観点から売買価格の一定割合を超えないように上限額が決まっています。下表は売買物件の場合です。

取引き金額に応じて仲介手数料の上限が異なります。

売買取引金額 仲介手数料の上限
200万円以下 売買金額×5%+消費税
200万円以上400万円以下 売買金額×4%+消費税
400万円以上 売買物件×3%+消費税

また、賃貸物件の場合は家賃1ヶ月分+消費税が上限額になります。

渡邊編集者渡邊編集者

不動産会社は提供するサービスに見合った報酬を得ることができる一方で、消費者も過大な負担を強いられることがないシステムになっているというわけですね!

そうですね。しかも仲介手数料は下限が定められていないので、上限が守られてさえいれば不動産会社は自由に手数料の額を決めることができます。半額や無料で仲介してくれる会社も出てきているんですよ。

小島解説員小島解説員

仲介手数料無料と両手取引における手数料調整の違い

不動産売買において、購入や売却をする際に不動産会社に仲介を依頼するのが一般的です。

この場合、一つの不動産会社が売主と買主の両方を担当することを「両手取引」と呼び、不動産会社は売主と買主の両方から仲介手数料を得ることができます。

両手取引とは?

売主と買主にそれぞれ異なる不動産会社が入る「片手取引」に対して、両手取引では不動産会社が得られる仲介手数料が倍になるため、不動産会社にとって利益が大きくなります。

渡邊編集者渡邊編集者

不動産会社が仲介手数料の値下げに応じることが多いのはこういった事情があるからなのですね。

さらに、買主が価格交渉を行う際に、売主が負担する仲介手数料を減額する「手数料調整」が行われることがあります。

特に、新築一戸建てやリノベーション物件など、売主が業者である場合によく見られる手法です。

手数料調整の仕組み

手数料調整による価格交渉の際、仲介手数料の減額は約3%が上限となります。

買主が3%以上の手数料調整を求めたとしても、最終的には3%以内に収まることが多いです。

小島解説員小島解説員

仲介手数料無料と手数料調整のどちらが負担増か?

買主の要望によって売主側の仲介手数料が減額された場合でも、売主は収入を確保できます。これにより、売主側の仲介手数料が無料になるとも解釈でき、売主と買主のどちらの負担額も変わりません。

不動産会社の視点から見ると、手数料調整で対応するか、買主が仲介手数料無料を希望するかの違いだけで、実質的な収入は変わりません。

支払いの面だけを見れば、仲介手数料無料も手数料調整も同じというわけです。

買主は要注意?!手数料調整のデメリット

ただ、手数料調整では、支払い額以外の側面で差が生じることがあり、場合によっては買主が不利になることがあります。

例えば、物件価格以外の資金が増えることで、ローンの比率が上がり、金利面で不利になることがあります。最悪の場合、ローン審査が通らないこともあります。

渡邊編集者渡邊編集者

支払金額だけを見れば負担額は同じでも、仲介手数料無料のほうが買主にとって都合がいい場合もあるんですね。

不動産業者が教える仲介手数料無料の注意点

仲介手数料無料の物件にはさまざまなからくりがありますが、不動産関係者がこれらの仕組みについてどう思っているかを調査してみると、否定的な意見を持つ人も多いようです。

評判や口コミを見てみると、どうやら仲介手数料無料という仕組みに懐疑的な見方をする不動産関係者が少なくないようですね。

仲介手数料無料に否定的な口コミ
  • 営業マンから見ればやる気をそがれる
  • トラブルが起きたら逃げるつもりなのでは?
  • 仲介手数料無料には訳がある
  • 仲介手数料無料物件の内見を断る業者も
  • 内見を請け負わないないところも

営業マンから見ればやる気をそがれる

最初から仲介手数料無料の物件を紹介してもらうと効率的ですが、営業マンによっては自身へのサービスの対価を支払いたくないと言われているようなものですから、熱心に良い物件を紹介しようという意欲が薄れることもあります。

会社の集客の一環として仲介手数料無料を打ち出している不動産会社なら構いませんが、特別そういった集客方法をとっていない不動産会社ではおすすめできません。

もし最初から仲介手数料無料の物件を探しているなら、仲介手数料無料の物件のみを扱っている店舗を訪れるのが良いでしょう。

小島解説員小島解説員

トラブルが起きたら逃げるつもりなのでは?

https://twitter.com/328estatecoLtd/status/1600052680956989446?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1600052680956989446%7Ctwgr%5E7a0a8bc877e610489a59c3f42b796a8954c638c8%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fgrand-next.jp%2Fjournal%2Fbrokerage-fee-karakuri

仲介手数料には、手続きや接客にかかる人件費も含まれています。

そのため、仲介手数料を取らない場合、満足できるサービスが受けられない可能性もあります。

もちろん、宅建業法上契約がスムーズに進むよう必要な手続きはしてくれるはずですが、対応スピードや接遇などは期待外れになる可能性もあります。

とはいえ、実際には仲介手数料無料の会社の対応に満足したというお客様の声も多く聞かれます。したがって、仲介手数料無料の会社だからといって、対応が雑だったりトラブルが起きやすいとは一概には言えません。

小島解説員小島解説員

仲介手数料無料には訳がある

仲介手数料が無料になる理由には、長く空室が続いている、または購入者がなかなか現れないといったケースも含まれます。つまり、住むのにデメリットを感じるポイントがいくつか見つかる可能性があるということです。

その点を考慮した上で部屋探しをしたほうが良いでしょう。

渡邊編集者渡邊編集者

競争率が低い物件は、仲介手数料無料が無料になりやすい傾向がありますよね。人気が集まらない要素について、契約前にしっかりと確認しておきたいです。

逆に言えば、そのネガティブな要素が自分にとって気にならない程度ならば、特に問題ないでしょう。

小島解説員小島解説員

仲介手数料無料物件の内見を断る業者も

渡邊編集者渡邊編集者

成約の見込みがない場合、貸主・売主や営業マンのやる気がそがれるのは仕方がないですよね。

ただし、仲介手数料無料だからといって必ずしも成約率が低いとは言い切れないのです。成約率が高いからこそ仲介手数料を無料にしている業者も実際にあります。

結局のところ、仲介業者の姿勢や対応次第で貸主・売主の温度差は変わってくると言えます。

小島解説員小島解説員

内見を請け負わないないところも

仲介手数料を無料にする代わりに、内見をあえて請け負わない業者も存在しています。内見できたとしても担当営業ではなく、アルバイトの学生が案内したり鍵を開けてくれるだけで説明などは一切しないという会社も。

さらに、内見どころか物件を直接見に行かずに仲介する無店舗型の不動産業者もあります。

渡邊編集者渡邊編集者

人件費を抑えることはできるかもしれませんが、私たち利用者にとってはリスクの高い契約になりますね。

入居後に重大な欠陥が発覚してもおかしくありません。仲介手数料無料と引き換えに、そのリスクを受け入れる覚悟が必要です。

小島解説員小島解説員

値引き交渉可能な物件の見分け方

ここからは仲介手数料無料、または仲介手数料を値引きしてもらえる物件を見分けるためのポイントをいくつか紹介します。

AD表記を確認する(賃貸)

賃貸物件の募集図面の右下などに「AD付き」と表示されている物件があります。

AD付きの物件は不動産会社にとって利益が大きいため、仲介手数料が無料になったり、減額交渉に応じたりするケースが多いです。

複数の不動産会社が広告に出している(売買)

同じ物件が複数の不動産会社によって広告されている場合、一般媒介契約の可能性が高いです。

MEMO

一般媒介契約はいろいろな不動産会社が関与・客付けできるため、仲介手数料の交渉がしやすくなります。

消費税のある物件(売買)

建売やリノベーション物件など、売主が業者である場合、仲介手数料がかかりません。販売価格に「税込」と表記されている場合、売主が業者である可能性が高いです。

なぜなら販売物件は課税対象のため、税込み価格での表示が基本ルールになっているからです。

注意

ただし、課税の有無を表記しない不動産会社もあるため、判別が難しい場合もありこの要素のみで判断するのは注意が必要です。

リノベーション済みの中古マンション・戸建て(売買)

リフォームやリノベーションには多額の費用がかかるため、個人で行うケースは稀です。つまり、市場にあるリノベされている物件は業者が売主であることがほとんどと言えます。

この場合、消費税が課税されるため、仲介手数料がかかりません。

新築一戸建て(売買)

新築一戸建ても同様に、商品物件として消費税が課税され、仲介手数料がかかりません。

注意

ただし、取引形態が専任・専属となっている場合は、仲介手数料が無料にならないこともあります。

売主が個人かつ不動産会社を利用していない(売買)

売主から直接不動産を購入する場合、仲介手数料は不要です。

ただし、プロの不動産業者を挟まず個人間での不動産売買を行うことはリスクも伴うため注意が必要です。

小島解説員小島解説員

物件の現況(売買)

物件情報の現況が「居住中」の場合は不動産会社の仲介が入っていると考えられます。

一般の人が売主の場合は、なるべく空室期間を減らすために居住中に物件の買い手を見つようと動き出すことが多いです。もちろんそのバックには不動産会社の仲介が入っていることが推測できます。

MEMO

裏を返すと、業者が売主の場合、現況が「空室」や「即入居可」となっていることが多いです。

現状売り・リフォーム後に入居歴がある(売買)

リノベーションやリフォームには多額の費用がかかります。

物件を売り出す際にそうした施工がされず、現状売りの物件は個人が売主である可能性が高く、その背後にはもちろん不動産会社の仲介が入っています。

したがって、こうした現状売り物件は仲介手数料が無料になることは少ないです。

さらに、リフォーム後すぐの物件は業者が売主のケースが非常に多いですが、リフォーム後に入居歴がある物件は個人が売主である可能性が高いです。

これも同様に仲介手数料無料にはなりにくいでしょう。

専属専任物件である(売買)

専任媒介契約は仲介を挟まずに契約できますが、専属専任物件は共同仲介となるため、手数料が無料になることはありません。

ただし、交渉次第では仲介手数料を半額にしてもらえることもあります。

小島解説員小島解説員

仲介手数料無料または割引交渉できるかはオーナー次第

仲介手数料が無料になるか、割引されるかは、最終的にはオーナーの判断に左右されます。

特に不動産売買の場合、通常は不動産会社が仲介業務を行うため、仲介手数料が発生します。したがって、仲介手数料を無料にできるかどうかは、売主が業者でない限りはっきりしない場合があります。

仲介手数料無料の物件が存在する理由や、その背景にはさまざまな要因があります。こうしたからくりを知ることで、賃貸契約や売買契約をよりスムーズに進めることができます。

小島解説員小島解説員

渡邊編集者渡邊編集者

最近では、ポータルサイトで仲介手数料無料物件を条件検索できるようになっていますが、手軽さをうのみにせず、信頼できる情報なのかを見極めることが重要ですね。

仲介手数料無料でも安心!トラブルを防ぐ不動産会社の選び方(売買・売却)

仲介手数料無料の物件には背後に仕組みがありますが、多くの場合、不動産会社を介して契約を行うことになります。

そのため、信頼できる不動産会社を選ばないと、思わぬトラブルに発展する可能性があります。

ここでは、不動産契約における優良な不動産会社を選ぶための3つのポイントについて説明します。

不動産会社を選ぶ際の3つのポイント
  • 実績豊富
  • 企業努力で客付けしている
  • トラブルが起きないよう仲介責任をきちんと果たす

1. 実績豊富な会社を選ぶ

不動産取引の実績が豊富な会社は、メガバンクを含む多くの銀行と取引があり、物件購入時の事前審査やローンの申し込みがスムーズに進みます。

一方で、新設の不動産会社は大手金融機関との取引が少なく、仮審査の段階から入居希望者が直接銀行に出向く必要がある場合があります。

トラブルを避けるためには、実績と経験の豊富な不動産会社を選ぶことが重要です。

2. 企業努力で客付けしている会社を選ぶ

仲介手数料を無料にするためには、人件費や広告費の削減などの企業努力が欠かせません。

特に売却を考える際は、ネットを中心に広告展開をしている不動産会社を選ぶと良いでしょう。

MEMO

このような会社は、効率的に物件を販売し、仲介手数料無料でも利益を上げる工夫をしています。

3. 仲介責任を果たす会社を選ぶ

仲介業務には、契約相手の募集、物件の調査、重要事項説明書の交付や説明など多岐にわたる内容が含まれます。

不動産会社にはこれらの業務を適切に遂行する責任があり、注意義務や説明義務を果たさない場合、後々トラブルに発展することがあります。

信頼できる不動産会社を選ぶためには、こうした仲介責任をしっかり果たしているかを確認することが大切です。

小島解説員小島解説員

仲介手数料無料の不動産会社は信頼できる?からくりに惑わされないポイント

渡邊編集者渡邊編集者

仲介手数料無料の仕組みや不動産会社の選び方について理解できましたが、看板やネットだけで優良な会社かどうかを見極めるのは難しいですよね。

もちろん、物件を契約するかどうかは不動産会社の対応を見てからでも構いません。ここでは、仲介手数料無料の不動産会社が本当に信頼できるかどうかを見極めるポイントを簡単にご紹介します。

小島解説員小島解説員

からくりに惑わされないために
  • キャッシュバックに踊らされない
  • 契約時期を迫ってきたら要注意

キャッシュバックに踊らされない

まず一つ目は、キャッシュバックに注意することが重要です。

不動産業界には仲介手数料無料に加えてキャッシュバックをうたう会社もありますが、実際には利用できる範囲や条件が限定されていたり、口約束で結局キャッシュバックされなかったりと、トラブルに発展する可能性があるのです。

また、キャッシュバックの税務処理にも注意が必要です。

注意

キャッシュバックを受け取ったのに確定申告をしないと、税務調査が入る可能性もあります。お得に感じる裏にはどんな仕組みがあるのか、しっかりと理解しておくことが大切です。

契約時期を迫ってきたら要注意

契約を迫る不動産会社には警戒が必要です。

業務の厳しさから早期に契約を促し、少しでもノルマ達成に近づけたいという思いがあるのでしょう。営業電話がしつこかったり、無理な売り込みが続く場合、不動産会社の信頼性に疑問が生じることもあります。

特に、緊急でもないの早朝や深夜まで連絡をしてくるような会社は社員の労働管理も徹底できていないブラックな会社の可能性がありますのでトラブルにつながる危険もあり、要注意です。

まとめ|仲介手数料無料のからくりを理解してトラブルを回避しよう

ここまで、仲介手数料が無料になるからくりについてお話しました。不動産会社にとって仲介手数料は収入源の大きな柱です。企業努力で無料にしているところもあれば、別の請求に上乗せしたり、名目だけを変えて徴収している会社もあり様々です。

見極めるにはそれなりの知識が必要になります。信頼できる不動産会社なのか、請求書におかしな点はないかなどよく確認して契約を進めるようにしてください。

おいしい話には必ず裏があります。仲介手数料無料ということは、見えないからくりがあり、トラブルが生じる危険性も潜んでいるということを覚えておく必要があります。

賃貸・売買に関わらず、信頼できる不動産会社をしっかりと見極めることが大切です。

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