「サラリーマンには手が届かない時代」と言われるほど、マンション価格が高騰し、「高すぎて買えない」という声が多く聞かれる昨今。
暴落を待つべきか、それとも今こそ購入すべきなのか、多くの人が頭を悩ませています。一方で、家を持つという目標は依然として多くの家庭にとって重要なライフイベントです。しかし、現在の高騰するマンション市場では誰もが気軽に手を伸ばせる状況ではありません。今後のマンション価格がどのように動くのか、緩やかな下落が期待できるのか、それとも高騰が続くのか、多くの方が気になっているはず。本記事では、新築・中古マンションの最新の価格動向や高騰の背景を解説するとともに、今後のマンションの価格予測から、後悔しない選び方まで徹底解説します。
山口編集者
マンションが高すぎて買えない人が多数出ている?
2024年現在、日本全国でマンション価格の高騰が社会問題となっています。
特に東京都心部や主要都市では、新築・中古を問わず、マンション価格が高騰し、多くの人が「マンションが高すぎて買えない」と感じる状況が広がっています。
家賃との比較でも購入の魅力が薄れ、「一生賃貸生活を選ぶべきか」と悩む人も増えています。
この現象は東京に限らず、大阪や名古屋といった三大都市圏でも同様で、それぞれの地域で価格上昇が続いています。
ここでは、最新の新築マンションと中古マンションの相場を分析し、この価格上昇の実態を明らかにします。
小島解説員
新築マンションの相場【2024年最新】
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(参照元:不動産経済研究所)
2024年の新築マンション市場は過去10年間で最も高値を記録しています。
特に東京23区では、平均価格が1億円を超えたことで、多くの家庭にとって手の届かない価格帯となっています。
建築コストの高騰、人件費の上昇、そして円安の影響が、これらの価格上昇を後押ししています。
港区や中央区では、富裕層向けの高級タワーマンションが供給の中心を占めており、1戸あたり2億円を超える物件も珍しくありません。
一方、大阪市内や名古屋市でも同様の傾向が見られ、中心部の再開発が進むエリアでは価格が急騰しています。
特に梅田エリアや栄エリアでは、供給不足と需要過多が重なり、新築マンションの平均価格が全国水準を上回る例も増えています。
また、23区外の多摩エリアや千葉県のベッドタウンでは、比較的価格が抑えられていますが、それでも過去5年間で20%以上の値上がりが見られています。
年収1,000万円を超えるような高所得層でも購入を躊躇する状況が見受けられ、物件探しの段階で諦めるケースが増加しています。
また、フラット35などの長期固定金利ローンを利用する家庭では、金利の上昇も購入の大きな障害となっています。
中古マンションの相場【2024年最新】
(参照元:株式会社東京カンテイ)
中古マンション市場も価格高騰の影響を強く受けています。
特に築10年未満の物件では、新築とほとんど変わらない価格帯となるケースが多く、一般的な所得層にとって購入のハードルが高い状況です。
築20年以上の中古マンションは、価格が比較的安定していますが、耐震基準の問題や修繕計画の不安などが購入検討の際の課題となります。
一方、築5~10年程度の物件は設備が最新に近く、人気が高いことから価格が抑えられにくい傾向にあります。
(参照元:株式会社東京カンテイ)
都心部では中古マンションの価格も堅調で、2024年時点で70㎡あたりの平均価格が7,500万円を超えるエリアが増えています。
例えば、品川区や渋谷区では新築を購入するのが難しいため、中古市場に需要が集中し、価格が一層上昇するという悪循環が起きています。
これと同様の状況は大阪や名古屋の中心部でも確認されており、梅田や栄といった商業エリアを中心に中古マンションの価格が上昇しています。
資産形成を目的とした購入者が増え、特にリノベーション可能な中古マンションの需要が高まっています。
これにより、一般家庭が購入する価格帯の物件がさらに競争激化する結果となっています。
次のセクションでは、これらの価格上昇を引き起こした背景について詳しく説明し、マンションが「高すぎる」と感じる根本的な理由を探ります。
マンションが高すぎる背景は?
マンション価格が高騰している理由は多岐にわたり、建設費の上昇や土地供給不足、高機能化と高級物件の増加、さらには特定地域での高級志向が挙げられます。
小島解説員
建設費の上昇が価格を押し上げる
近年、建築コストの上昇がマンション価格に影響しています。
資材価格の高騰や建設業界の人手不足による人件費の上昇が主な原因です。
鉄鋼や木材、コンクリートなどの建材価格は、世界的な需要増加や供給チェーンの混乱により高騰し続けています。
一方、技能労働者の確保が困難な建設業界では労働単価が上昇しており、これが全体の建築費を引き上げています。
これらのコスト増加により、デベロッパーは価格を引き下げることが難しく、結果として販売価格が上昇しています。
土地供給不足と希少性の高まり
都市部での土地供給不足もマンション価格を高騰させる一因となっています。
開発可能な土地が減少し、大都市圏では新しい開発用地の確保が困難です。
また、デベロッパー間の競争が激化しており、土地取得費用が高額化しています。
その結果、土地の希少性が地価の上昇を招き、マンション価格にも反映される状況となっています。
高機能化と高級物件の増加
消費者ニーズに応えるための高機能化や高級物件の増加もマンション価格に影響しています。
スマートホーム技術の導入や高断熱性能、デザイン性の向上が標準化されており、これが建設コストを押し上げています。
また、億ションと呼ばれる高級マンションでは、プライベートプールやジム、スカイラウンジなどの共用設備が充実しており、これらが物件価格のさらなる高騰を招いています。
特定地域での高級志向とその影響
特定地域における高級志向もマンション価格の上昇に大きく関係しています。
東京都心部や主要駅周辺では需要が集中しており、渋谷区や港区など利便性の高いエリアでは価格競争が激化しています。
さらに、富裕層向けの市場戦略による高価格帯物件の増加が中間層の購入機会を減少させ、市場全体の価格を押し上げる結果となっています。
高すぎて買えない時期は、いつ終わる?
マンション価格が高騰している現状には、複数の要因が複雑に絡んでいますが、この価格高騰が緩和される可能性も視野に入れるべきです。
特に、金利動向、為替相場、建設コストの変化、そして国内外の需要が価格調整の大きなカギを握っています。
山口編集者
小島解説員
金利とマンション価格の関係
現在、日本は長期間にわたる低金利政策を維持しています。
特に変動金利を利用する住宅ローンでは低利率が続いており、マンション需要を下支えしています。
ただし、固定金利は長期プライムレートの影響で上昇傾向にあります。
アメリカの長期金利が景気減速の影響で低下する可能性があるため、日本の固定金利が緩やかに安定することも期待されています。
これにより、短期的には低金利環境が維持される一方、金利上昇が進むことでマンション価格が調整される可能性も出てきます。
為替相場と建設コストの影響
為替相場もマンション価格に大きな影響を与えます。
2024年末には120円台程度の円高が予想されており、輸入資材や燃料費の負担が若干軽減される可能性があります。
ただし、金融緩和政策が続く限り、急激な円高は考えにくく、建設コストの劇的な低下にはつながりにくいのが現状です。
それでも、建設費用の安定化が見込まれることで、価格高騰のペースが緩やかになる可能性があります。
国内外の需要動向
国内需要は低金利の恩恵を受けて堅調ですが、少子高齢化や人口減少の影響で、地域によっては需要が減少する可能性もあります。
一方で、円安がしばらく続くことから、都市部では海外投資家による需要が堅調であり、高値維持の要因になっています。
これらの需給バランスの違いにより、価格変動の幅は地域によって大きく異なるでしょう。
短期的にマンション価格が大きく下がる要因は少ないものの、複数の要素が作用することで、価格の高騰が緩和される可能性も考えられます。
特に、景気減速や金利の上昇、建設コストの安定化、さらには需要バランスの変化が緩和の引き金になるかもしれません。
現在の高騰緩和のシナリオ市場では価格が高止まりしている状態ですが、これらの変化が加速することで、買いやすい価格帯への調整が進むことが期待されます。
マンションの買い時はいつ?
マンション価格の高騰が続く中で、「買い時」を見極めることは難しい課題です。
しかし、緩やかに価格が緩和される可能性があるからといって、様子を見すぎるのもリスクがあります。
実は、「今こそ買い時」と考えられる理由がいくつかあります。
緩和されるスピードはゆっくり
確かに、金利や建設コストの変化、為替の動向によって価格が下がる可能性はありますが、そのスピードは非常に緩やかで、短期間で大きな下落が起こるとは考えにくいのが現実です。
たとえば、アメリカの景気減速による長期金利の低下や円高傾向が進んだとしても、すぐに建設費用や販売価格に大きな影響を与えるわけではありません。
このため、「もう少し待てばさらに安くなる」という期待が必ずしも叶うとは限りません。
今の低金利を活かす
現在、日本では変動金利を中心に低利率が維持されています。
住宅ローンの負担が軽減されるこの環境は、マンション購入の大きな追い風です。
特に固定金利は微増傾向にありますが、それでも世界的に見れば非常に低水準を保っています。
この有利な条件を逃すと、将来的に金利が上昇した際に住宅ローンの負担が増える可能性があります。
需要の堅調さは継続
都市部を中心に、国内外の需要が堅調である以上、人気のエリアや条件の良い物件はすぐに売れてしまうことが予想されます。
様子を見ている間に自分が狙っていた物件が売れてしまうことも珍しくありません。
特に、立地や設備が魅力的なマンションは価格が維持されやすく、値下がりを待っている間に買い時を逃してしまうリスクがあります。
マンションの暴落を待ち続けると、気に入った物件を他者に取られてしまう可能性もありますよね。
今が買い時と考える理由
マンション価格が高止まりしている現状では、「今が高いのでは?」と感じる人も多いでしょう。
しかし、金利や需要の変化を踏まえたとき、価格が下がるまで待ち続けるのは賢明ではありません。
現在の低金利を活かし、自分のライフプランや予算に合った物件を選ぶことで、将来の金利上昇や価格変動のリスクを最小限に抑えられます。
小島解説員
後悔の無いマンションの選び方
マンション購入は大きな投資です。後悔しないためには、しっかりとしたポイントを押さえて選ぶことが大切です。
ここでは、後悔しないマンション選びのために確認すべき点を紹介します。
資産価値の落ちにくいマンション
マンションを購入する際、将来的な資産価値が大きなポイントとなります。
立地や周辺環境、建物の維持状態などが影響しますが、特に「駅近」や「商業施設にアクセスしやすい場所」に位置する物件は、資産価値の落ちにくい傾向があります。
また、周辺地域の再開発計画や人気のエリアであることも、価値を保ちやすい要因です。
将来の売却や貸し出しを考えると、安定した需要が見込まれるエリアに注目することが重要です。
後悔の無いマンションの選び方
マンション購入は大きな投資です。
後悔しないためには、しっかりとしたポイントを押さえて選ぶことが大切です。
小島解説員
資産価値の落ちにくいマンション
マンションを購入する際、将来的な資産価値が大きなポイントとなります。
立地や周辺環境、建物の維持状態などが影響しますが、特に「駅近」や「商業施設にアクセスしやすい場所」に位置する物件は、資産価値の落ちにくい傾向があります。
また、周辺地域の再開発計画や人気のエリアであることも、価値を保ちやすい要因です。
将来の売却や貸し出しを考えると、安定した需要が見込まれるエリアに注目することが重要です。
旧耐震性か新耐震基準か
マンションを購入する際、耐震基準が重要な判断材料となります。
特に、築年数が40年以上の物件は、1981年以前に建てられた「旧耐震基準」に基づいています。
この旧耐震基準では、震度5強程度の揺れには耐えられる設計となっていましたが、震度6~7の大地震には対応できない可能性が高いです。
経年劣化が進んでいる物件では、構造部分が弱くなり、耐震性が低下していることがあります。
これにより、強い地震が発生した際、倒壊や損傷のリスクが高まることが考えられます。
そのため、特に地震大国である日本では、震災時の安全性をしっかりと確認することが非常に重要です。
1981年に改正された新耐震基準では、より厳格な耐震性能が求められ、現在の基準に基づいたマンションの方が地震に強いとされています。
購入を検討する際には、物件が旧耐震基準で建てられているのか、それとも新耐震基準で建てられているのかを確認し、リスクをしっかり把握することが大切です。
修繕計画を不動産会社に確認
マンションを購入する際、修繕計画がしっかりと立てられているかどうかは、非常に重要なポイントです。
修繕計画は、マンションの設備や外壁、共用部分などの定期的なメンテナンスや大規模修繕がいつ、どのように行われるかを示したものです。
これが不十分な場合、購入後に予期しない大きな支出が発生するリスクがあります。
特に修繕計画がない、または不十分な場合、管理組合が十分に資金を積み立てていない可能性があり、突発的な修繕が必要となった際に高額な費用を住民が負担しなければならなくなることがあります。
例えば、外壁の補修や給排水管の交換、大規模な設備更新などは、数百万円以上の費用がかかることも珍しくありません。
このような急な費用負担は、住民にとって大きな経済的負担となり、場合によってはローン返済に影響を及ぼすこともあります。
また、修繕計画が適切に実施されていないマンションでは、建物の劣化が早まり、住環境が悪化する可能性もあります。
信頼できる不動産会社の選び方
マンション購入には信頼できる不動産会社を選ぶことが非常に重要です。
購入後のサポートや問題解決をスムーズに進めるためには、しっかりとした業者選びがカギとなります。
売買が得意な不動産会社を選ぶ
不動産会社には、売買と賃貸、どちらかが得意な会社があります。
不動産会社の得意分野を知ることも重要です。特にマンションの購入においては、売買が得意な不動産会社を選ぶと良いでしょう。
小島解説員
また、希望に合った物件を迅速に見つけてくれるため、スムーズに購入手続きが進みやすくなります。
売買が得意な不動産会社の見極め方としては、ホームページや広告で「取引実績〇〇件」や「年間売買数〇〇件」といった具体的な数字が記載されているかどうかがポイントです。
さらに、マンションや戸建ての販売事例を具体的に紹介している会社は、売買に強みを持っている可能性が高いです。
また、物件情報だけでなく、価格動向や税金、住宅ローンに関する記事やコラムを豊富に掲載している会社は、市場同行に強い不動産会社と言えます。
5年以上の実績があるか
不動産会社を選ぶ際、実績が5年以上あるかどうかは重要な判断材料の一つです。
実績のある会社は、長年の経験を積んでおり、顧客対応や契約内容の理解、問題解決のスピードなどにおいて非常に信頼できます。
取引において、契約書や重要事項説明書の作成が正確であることはもちろん、予期しないトラブルが発生した際に迅速に対応できる力も備わっています。
不動産業界において、免許を持つ会社は「宅地建物取引業法」に基づき営業を行っていますが、その免許番号の更新回数から、営業年数を推測することができます。
たとえば、免許番号が「兵庫県知事(3)」であれば、その会社は10年以上の営業実績があることがわかります。逆に、営業年数が少ない会社では、まだ取引件数が少なく、トラブル対応に不安が残ることもあります。
山口編集者
仲介手数料が安いか無料の不動産仲介会社
不動産購入時に発生する仲介手数料も大きな費用となります。
仲介手数料が安い、または無料の不動産会社を選べば、その分のコストを抑えることができます。
最近では、仲介手数料を無料にするサービスを提供している不動産会社もあります。
費用を抑えたい方には、こうした会社を選ぶのも一つの方法です。
まとめ
マンション市場は現在、高価格帯が続いており、多くの人が「買いたくても買えない」と感じているのが現状です。
特に新築マンションや中古マンションの相場は高騰しており、その背景には金利や需要、建設資材のコスト増など複数の要因が絡んでいます。
しかし、この状況がいつまでも続くわけではなく、金利の動向や経済の変化により、市場は徐々に緩和される可能性があります。
購入のタイミングとしては、今が絶好の機会とも言えますが、後悔しないためには慎重な選択が求められます。
特に資産価値が落ちにくいマンションや耐震性、修繕計画などを確認し、信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。
5年以上の実績を持つ業者や、売買に特化した業者を選ぶことで、安心して取引を進めることができるでしょう。