不動産の契約でクーリングオフの告知は書面でできる?できない条件も解説!

不動産取引におけるクーリングオフの告知は書面?できない場合は?


この記事を書いた人
小島 優一
宅地建物取引士

宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士。生命保険会社にてリテール業務に従事した後、2014年に不動産仲介会社であるグランドネクスト株式会社を設立。 2021年より幻冬舎ゴールドオンラインにて不動産を通じて財産を守る、増やす、残す記事を連載している。 >> 詳細はこちらから

この記事のまとめ
  • 不動産取引におけるクーリングオフの基礎知識を紹介!
  • クーリングオフの告知は書面でできる!
  • 不動産の取引でクーリングオフができない条件や場所を解説!

不動産契約を結んだ後に「本当にこのままでいいのだろうか?」と悩む方も多いのではないでしょうか

高額な取引が多い不動産契約では、後から「やっぱり取り消したい」と考えることも珍しくありません。そんなときに役立つのが「クーリングオフ制度」です。この制度を正しく利用すれば、特定の条件下で契約を無条件に解除することが可能です。ただし、不動産取引では適用できる場合とできない場合があるため、事前にしっかりと理解することが大切です。

この記事では、不動産におけるクーリングオフの基本から、制度の適用条件や告知手続きの方法までを詳しく解説します。

不動産取引におけるクーリングオフの基礎知識をわかりやすく解説し、実際にどのように活用するべきかをご紹介します契約解除に関する不安を解消したい方は、ぜひ参考にしてください。

小島解説員小島解説員

 クーリングオフ制度とは?

クーリングオフ制度とは、一定期間内であれば契約を無条件で解除できる法律上の仕組みです

これは、消費者が契約内容を冷静に見直す時間を確保し、不当な勧誘や急な意思決定を避けるために設けられています。

この制度は主に訪問販売や電話勧誘販売などで適用されますが、実は不動産取引においても特定の条件を満たす場合に利用可能です。

高額な契約が多い不動産取引では、特に重要な消費者保護の手段となります。

クーリングオフは不動産の契約でも利用できる?

不動産契約でも、一定の条件下でクーリングオフが適用されます。

たとえば、業者の事務所以外の場所(自宅や喫茶店など)で契約が行われた場合、クーリングオフが可能です。

ただし、業者の事務所や展示場での契約、あるいは土地や建物の引渡しが完了している場合は適用外となります。

不動産取引では条件が複雑なため、適用要件を事前に確認することが重要です。

山口編集者山口編集者

事務所での契約だとクーリングオフが適用されないんですね!案外知らない人は多そうですね…。

他にも適用されないケースがあるので、確認しておきましょう。

小島解説員小島解説員

クーリングオフができない場合4選

宅地建物取引業法(宅建法)においては、消費者を保護するためにクーリングオフ制度が設けられています。

これは、不動産取引において一定の条件を満たす場合、契約後であっても一定期間内であれば無条件で契約を解除できる制度です。

しかし、すべての不動産売買契約においてクーリングオフが適用されるわけではありません。

ここでは、クーリングオフができないケースとその理由や、場所について詳しく説明します。

POINT
  • 申込場所と契約場所が異なる場合、クーリングオフの適用可否は申込場所に基づいて判断されます。
    つまり、クーリングオフの条件が適用されるかどうかは、実際に申し込みを行った場所が重要となります。
  • 買主が自らの自宅や勤務先で申し込みを行った場合、クーリングオフの権利を行使することはできません。
    申し込みが業者の事務所や公式な案内所以外の場所で行われた場合に該当します。
  • 買主が自ら業者の事務所や案内所に出向き、意図的に契約を締結した場合もクーリングオフは適用されません。
  • 買主が事前に契約を明示的に希望し、意思表示を行った場合も、クーリングオフの権利は行使できません。

契約場所が業者の事務所や展示場の場合

クーリングオフができるかどうかは、契約が締結された場所が重要な要素となります。

例えば、契約が業者の事務所、展示場、または常設の案内所で行われた場合、クーリングオフの対象外です。

これは、これらの場所が不動産取引を行うための正式な場所とされており、消費者が契約に対する十分な判断を行える環境にあると考えられているためです。

自ら業者の事務所に出向いて契約を締結した場合

買主が自ら業者の事務所や案内所に出向き、意図的に契約を締結した場合もクーリングオフは適用されません。

この場合、消費者が自発的に契約を希望していると見なされ、強引な販売手法による不意打ちがないとされるため、制度の適用外となります。

土地や建物の引渡しおよび代金の支払いが完了している場合

すでに土地や建物の引渡しが完了し、かつ代金が全額支払われている場合も、クーリングオフの権利は行使できません。

このような場合、売買契約は実質的に完了しているため、後から契約を無効にすることはできないとされています。

買主が事前に契約を望んでいた場合

買主が事前に契約を明示的に希望し、意思表示を行った場合も、クーリングオフは適用されません。

このような場合、消費者保護の必要性が低く、契約解除の権利が制限されることになります。

これらのケースや場所では、クーリングオフを行うことができません。そのため、契約前に十分な確認をしておきましょう。

クーリングオフの告知は書面対応が重要!流れを解説

クーリングオフを行使するためには、契約解除の意思を業者に対して告知義務があります。

通知方法として最も重要なのは、書面による告知です。

書面での通知は、後日トラブルを避けるためにも有効な手段とされています。

口頭や電話での通知は証拠として不十分であるため、契約解除の意思を明確に示すためには書面が必須です。

不動産取引におけるクーリングオフの手順
  • クーリングオフの告知方法!書面について
  • 書面の内容
  • 通知方法
  • 書面の提出期限
  • 書面以外の告知方法

クーリングオフを告知する書面の書き方

クーリングオフの書面には、以下の情報を入れて書きましょう。

契約解除の意思表示

「クーリングオフを行使します」といった明確な意思表示を記載します。

契約の詳細

契約締結日、物件の所在地、契約書に記載されている内容など、契約に関する具体的な情報を記載します。

送付先

不動産業者の正確な住所を記載し、宛名を明確にします。

日付と署名

書面に記載した日付と自分の署名を行います。

MEMO

クーリング・オフの書面は、手書きでも作成できます。パソコンやワープロで作成したものでも問題ありませんが、署名部分は契約者が自署する必要があります。

書面の郵送方法

書面による通知を行う際には、内容証明郵便を使用することが推奨されます。

内容証明郵便は、送付した書面の内容や送付日時を証明するための手段であり、後から証拠として利用できるため、トラブル防止に役立ちます。

内容証明郵便を用いることで、通知が確実に行われたことが証明され、業者側もその内容を認識することができます。

提出期限

クーリングオフの書面は、契約書の交付日から8日以内に送付する必要があります。

この期間を過ぎると、クーリングオフの権利を行使することができなくなりますので、迅速に対応することが求められます。

書面以外の告知方法は?

クーリングオフの告知は基本的に書面で行う必要がありますが、場合によっては電子メールやFAXでの通知も受け付けている業者もあります。

しかし、電子メールやFAXの受領確認が難しいため、正式な証拠を残すためには書面による通知が最も確実です。

クーリングオフ制度を利用する際には、告知方法や手続きについて十分に理解し、適切に対応することが重要です。書面による確実な通知を行い、万が一のトラブルを防ぎましょう。

小島解説員小島解説員

不動産取引でクーリングオフを利用する注意点

不動産取引において、クーリングオフ制度を利用することで、契約後に一定の期間内で無条件に契約を解除することが可能です。

ただし、この制度を正しく利用するためには、いくつかの手順と注意点を理解しておく必要があります。

以下に、クーリングオフを利用するための具体的な手順と注意点を説明します。

契約書が交付されているか確認する

クーリングオフの権利を行使するためには、契約書面が消費者に交付されている必要があります。

契約書が交付されていない場合、クーリングオフの適用が難しくなることがあります。

解除後の手続き

クーリングオフを行使した後には、契約解除の確認よ返金の手続きを確認しましょう。

業者から契約解除の確認書を受け取ることができれば、手続きが完了した証拠となります。

次に、クーリングオフによって契約が解除された場合、既に支払った代金の返金手続きが行われます。

返金の方法や期日について業者と確認し、必要な手続きを進めます。

その他の注意点

クーリングオフを利用する際の注意点として、以下の点に気を付けることが大切です。

まず一つ目はクーリングオフの期間を過ぎると、権利を行使できなくなります。

期間内に通知を行うように注意しましょう。

次にクーリングオフの通知書や契約書、確認書などの書類は、後でトラブルが発生した場合に備えて、しっかりと保管しておくことが重要です。

不動産取引におけるクーリングオフ制度を適切に利用することで、契約後の不安を軽減し、安心して取引を進めることができます。手順や注意点をしっかりと理解し、万全の準備を整えて対応しましょう。

小島解説員小島解説員

宅建におけるクーリングオフの告知義務はある?

不動産取引において、宅地建物取引業法(宅建法)は消費者保護のためにクーリングオフ制度を導入しています。

しかし、宅建業者に対してクーリングオフの権利を告知する法的義務は定められていません。

つまり、宅建業者が契約時にクーリングオフの権利について説明しなかったとしても、法律違反とはなりません。

渡邊編集者渡邊編集者

クーリングオフの権利を告知する法的義務は定められていないんですね・・!

クーリングオフとは、消費者が契約を結んだ後、一定の条件を満たせば無条件で契約を解除できる制度です。

この制度は、主に訪問販売や強引な勧誘による契約を防ぐために設けられていますが、不動産取引においても特定の状況下で適用されます。

しかし、その適用範囲は限られており、すべての不動産取引において適用されるわけではありません。

宅建業者がクーリングオフの権利を説明しなかった場合でも、買主は法的にはその権利を持っているため、契約後に適用条件が満たされていることに気づけば、買主はクーリングオフを行使することができます。

しかし、業者側がその説明をしないことにより、買主がその権利を知らないまま契約を継続してしまうリスクが存在します。

このため、クーリングオフ制度が適用される可能性がある取引において、消費者自身がこの権利について理解しておくことが非常に重要です。

実務上、多くの宅建業者は消費者との信頼関係を重視し、契約締結前にクーリングオフの制度について説明することが一般的ですが、これは法律で義務づけられているものではなく、業者側の自主的な対応です。

したがって、契約においてクーリングオフが適用されるかどうか、どのような条件下で行使できるかについては、消費者自身が契約前にしっかりと確認する必要があります。

結論として、宅建業者にはクーリングオフの告知義務はありませんが、消費者保護の観点から、自ら権利や制度について理解を深めることが大切です。

まとめ

不動産取引におけるクーリングオフ制度は、契約後に一定の期間内で無条件に契約を解除できる仕組みです。

この制度は、消費者が契約後に不安や後悔を感じた際に、一定の保護を提供することを目的としています。

ただし、クーリングオフの適用範囲や手続きにはいくつかの条件があります。

例えば、クーリングオフは主に業者の事務所外(自宅や展示会場など)で締結された契約に適用され、業者の事務所内での契約には適用されません。

また、契約解除の意思を示すためには書面での通知が必要で、通知は契約書交付日から8日以内に行う必要があります。

通知方法としては内容証明郵便の使用が推奨され、後のトラブル防止に役立ちます。

クーリングオフを正しく理解し、適切に対応することで、契約後の不安を軽減し、安心して取引を進めることができます。