- 仲介手数料を無料にするには?
- 誰でもできる!仲介手数料を無料にする4つの方法
- 交渉のコツと気をつけたい落とし穴&デメリット
部屋を借りる際、不動産会社や大家さんに支払う初期費用のほかに、引越し費用や家具・家電の購入費用など、多額の資金が必要になります。
せっかくの新生活ですから、カツカツの状態でスタートするのは避けたいものです。
渡邊編集者
小島解説員
そこで、仲介手数料を無料にするための交渉術や、仲介手数料無料のからくりについてご紹介します。
そもそも仲介手数料とは?仕組みは?
仲介手数料とは不動産仲介業者が不動産の賃貸・売買取引において提供する「仲介サービス」に対する報酬として支払われるお金のことです。
不動産仲介業者は、購入者と売り手の双方と交渉し、物件の紹介や内見の手配、契約手続きなど様々なサービスを提供します。こうした複雑な手続きは素人には難しいもの。
プロの手を借りてスムーズに契約が進められる対価として、仲介手数料が発生するのです。
仲介手数料の計算方法
一方、仲介手数料には宅建業法により上限金額が定められています。
賃貸物件の場合、仲介手数料の上限は家賃1ヶ月分+消費税です。
売買物件の場合は、取引金額に応じて上限金額が異なります。
売買取引金額 | 仲介手数料の上限 |
200万円以下 | 売買金額×5%+消費税 |
200万円以上400万円以下 | 売買金額×4%+消費税 |
400万円以上 | 売買物件×3%+消費税 |
たとえば3,000万円の物件を購入する場合は1,056,000円の仲介手数料が発生します。
仲介手数料はなぜ必要?
渡邊編集者
小島解説員
一方で、広告費などの費用を削減している会社もあり、これにより仲介手数料を無料または半額に値引きしている場合もあるんですよ。
仲介手数料は不動産会社に支払う成功報酬
賃貸物件を契約する際、ほとんどの人が不動産会社を利用します。不動産会社は、入居者と大家さんの間に立って賃貸借契約を結ぶ手続きを代行するため、その対価として仲介手数料が発生します。
一言で賃貸借契約を結ぶ手続きといっても、不動産会社は具体的に以下のようなサポートをしてくれます。
- 希望条件に合う物件を提案・案内する
- 入居者に代わり大家さんとの交渉を進める
- 契約に必要な書類を作成し手続きをする
- 万が一のトラブルにも対応する
大家さんと直接契約をする場合、物件探しや内見の鍵の手配、契約書の作成、手続きなどすべてを入居者自身で行う必要があります。
これには交渉に慣れていない場合、トラブルにつながる恐れがあるので注意が必要です。
さらに、物件探しや内見、賃貸借契約の全てを自分で行う場合は、時間と手間がかなりかかることが多いです。
不動産会社に仲介手数料を支払う理由は、こうした煩雑な手続きを代行し、スムーズに契約まで進めてくれるためです。
こうした背景を理解することで、なぜ仲介手数料が必要なのか納得ができるのではないでしょうか。
仲介手数料の上限は「賃料の1ヶ月分+税」
不動産会社が受け取れる仲介手数料は法律で定められており、家賃の1ヶ月分(+税)が上限とされています。
ただし、入居者と大家さんの双方の同意が得られれば、どちらか一方から家賃の1ヶ月分(+税)まで仲介手数料を受け取ることも可能です。
したがって、仲介手数料の相場は一般的には家賃の0.5〜1ヶ月分(+税)となります。
具体的には、例えば家賃が5万円の物件であれば、仲介手数料は家賃の0.5ヶ月分の場合で27,500円(税別)、家賃の1ヶ月分の場合で55,000円(税別)が目安となります。
渡邊編集者
仲介手数料無料のからくりとは?
敷金、礼金、仲介手数料など、賃貸契約にかかる費用にはさまざまな項目があります。敷金は家賃滞納や退去時の原状回復費用の担保となり、礼金は大家さんに支払う謝礼的な意味合いのお金です。
しかし仲介手数料は何のために発生し、支払わなければならないのかを疑問に思う人も多いでしょう。
仲介手数料は、不動産会社が物件の紹介、契約手続き、交渉などのサービスを提供する対価として発生します。この背景を知らずにやみくもに仲介手数料無料の交渉をするのは、不動産会社にとって失礼なことです。前述の通り、不動産会社は仲介手数料の値下げに消極的ですので、交渉する際は心証をよくすることが大前提です。
小島解説員
渡邊編集者
小島解説員
- 他の方法で仲介手数料分を売り上げている
- 仲介手数料を無料にする以上に不動産会社にメリットがある
- そもそも仲介業務が発生しない物件だから
特に「他の方法で仲介手数料分を売り上げている」というのが、仲介手数料無料の大きな理由といえます。
ここで、仲介手数料無料の仕組みについて詳しくご紹介しましょう。
大家さんが仲介手数料を負担している
入居者が支払うべき仲介手数料を、大家さんが全額負担しているケースがあります。このような場合、空室期間が長く、築年数が古いなどのマイナス要素が多く、入居者がなかなか決まらないことが理由です。
大家さんにとっては「空室=無収入」というリスクがあり、仲介手数料を負担してでも空室状態を解消したいという狙いがあります。
同時に、不動産会社側も条件の良い物件は人気があり、早期に成約に結びつけるように積極的にお客さんにすすめます。
小島解説員
物件にAD(広告料)がついている
山口編集者
小島解説員
この用語は「Advertising(広告)」の略で、仲介業者にとっては仲介手数料以外の収入源となっています。
本来、仲介業者は借主から仲介手数料として1か月分の家賃を受け取ることが一般的ですが、オーナーからADを受け取ることで、借主からの仲介手数料を無料にするケースがあります。
これは「仲介手数料無料」の裏側にある仕組みとして広く知られています。
また、宅建業法ではオーナーが支払うADについて、1か月分の家賃を超える額を支払うことも認められており、これがさらに大きな利益となることがあります。
多い場合には、2か月分や3か月分の家賃相当額がADとして支払われることもあります。
この仕組みを利用して、仲介会社は借主からの仲介手数料をゼロにする代わりに、オーナーからのAD収入で利益を確保しています。
その結果、成約率を高める戦略として仲介手数料無料を前面に打ち出す仲介会社も増加しています。
ただし、一部の仲介業者では、借主から仲介手数料を受け取りつつ、オーナーからもADを受け取る「両手商売」を行うこともあり、契約時にはこうした背景を知った上で慎重に判断することが重要です。
小島解説員
不動産会社間で取引している
賃貸物件では、大家さんが特定の不動産会社と「専任媒介契約」を結ぶ場合があります。
例えば、専任媒介契約を結んでいるA社に対し、別のB社が入居者を見つけた場合、A社はB社に対して「業務委託」という形で契約業務を代行してもらいます。
この際、B社はA社から「業務委託費」として利益を得ることができるため、仲介手数料が無料でも損することはありません。
集客や実績作りが目的
特定の不動産会社と契約する「専任媒介契約」と対照的に、「一般媒介契約」では複数の不動産会社が同じ物件を取り扱うことがあります。
これにより、競合他社に先に仲介されるリスクが生じます。競合他社よりも有利に入居者を見つけるため、仲介手数料無料にする不動産会社が存在するのです。
小島解説員
別の費用項目で請求される
一般的な仲介手数料以外に、入居者に対して鍵交換代やクリーニング代、消毒代などの名目で費用が請求されるケースもあります。
対応策としては、見積もりや初期費用明細書、契約書にしっかり目を通すことです。おかしいと思う部分があれば理由を聞き、納得できなければ項目の削除を依頼してみてください。
家賃などに上乗せしている
仲介手数料が無料である代わりに、家賃を上乗せするケースがあります。これにより、初期費用を抑えつつも、月々の家賃が相場より高く設定されていることがあります。
渡邊編集者
入居時に初期費用を抑えられる一方で、長期的には月々のコストが高くなることが考えられます。仲介手数料が無料であるからといって、必ずしもお得とは言えず、地域の家賃相場を把握することが重要です。
サブリース物件である
サブリース物件(転貸物件)とは、オーナー(貸主)とサブリース会社(借主)が賃貸契約を結び、サブリース会社が入居者に転貸するスタイルの物件です。
この場合、入居者との契約は貸主ではなく借主が行うため、仲介手数料が発生しません。
サブリース物件は仲介手数料が発生しない代わりに、サブリース会社の利益が家賃に上乗せされるのがポイントです。
小島解説員
不動産会社の自社管理物件である
不動産会社が管理業務も請け負っている場合、オーナーから仲介手数料やADが受け取れるため、入居者から仲介手数料を取らないことがあります。
また、不動産会社が所有する物件なら仲介が行われないため、仲介手数料が発生しません。
注意
とはいえ、不動産会社の自社管理物件は数が少なく、希望条件に合う物件が探しにくいというデメリットがあります。
公共賃貸物件などの特殊なケース
公的賃貸物件であるUR賃貸や都営住宅、都民住宅などでは、一般賃貸と異なり仲介手数料が発生しません。
したがって、これらの物件を不動産会社を介して申し込んでも手数料はかかりません。初期費用を確実に抑えることが可能です。
仲介手数料無料のカラクリは多岐にわたる
これまでに紹介したように、仲介手数料が無料になるカラクリはさまざまです。
渡邊編集者
小島解説員
仲介手数料無料にするには交渉が必要?実践できる4つの方法
初期費用の中に含まれる仲介手数料が無料になれば、数万から十数万円の節約になります。少しでも費用を抑えて引っ越しをしたい人は、仲介手数料無料を条件に部屋探しを始めてみたはいかがでしょうか。
そこで、仲介手数料を無料にするための方法について、不動産知識に詳しくなくても実践できる4つの方法をご紹介します。
不動産会社が所有・管理する物件を選ぶ
不動産会社が所有・管理する賃貸物件を選ぶと、仲介手数料がかからない場合があります。
このような物件はオーナーと直接契約を結ぶことになるため、仲介業務が発生しません。
契約書の作成なども管理会社が行ってくれるので契約の手間は変わらず仲介手数料だけを節約することができます。
大家さんと直接賃貸契約を交わす
不動産の仲介会社を通さずに入居者と大家さん(または管理会社)の間で直接契約を交わせば、仲介業務が発生しないため仲介手数料がかかりません。
しかし、契約に関わる煩わしい事務作業を避けるために不動産会社を利用する大家さんや管理会社も多く、直接取引できる賃貸物件を探すのは難しいです。
登記簿で得た情報をもとに、郵送や自宅訪問でコンタクトを取ることもできます。
小島解説員
大家さんと直接契約できる不動産サイトもありますので、効率よく探すのであればサイトの利用もおすすめです。
仲介手数料が無料の不動産屋で探す
ネットで「仲介手数料無料 不動産屋」などで検索すると、仲介手数料ゼロ円を売りにした専門不動産がいくつかヒットします。こうした不動産業者は内見や物件提案の手間を省き、ユーザーの見たい物件に的を絞って契約を進めるタイプの会社が多いです。
中には広告費を削減し、ネット集客で収益を得ているタイプの不動産会社もあります。こちらはフルサービスで案内・契約を進めてくれる上、仲介手数料も半額や無料にできる力もあるので安心でしょう。
小島解説員
相見積もりで不動産会社に交渉する
不動産会社に粘り強く交渉することで、仲介手数料が無料になる可能性もあります。
基本的に、不動産会社は仲介手数料の値下げには消極的です。自身の営業活動に対する報酬を払いたくないと言っているようなものなので当然でしょう。
ただし、初期費用を抑えるためには、仲介手数料以外にも値下げ交渉できる項目があります。それについては後半で詳しく紹介します。
仲介手数料無料にするには?交渉のポイント
渡邊編集者
小島解説員
ここからはポイントや気を付ける点をお伝えします。
- 仲介手数料無料の交渉は申し込み前におこなう
- 交渉に強い不動産会社を選ぶ
- 仲介手数料なしの交渉がしやすい賃貸物件を選ぶ
仲介手数料無料の交渉は申し込み前におこなう
初期費用の内訳については、基本的には契約条件に同意した上で申し込むのが一般的です。
契約の前に条件や費用についてしっかり確認し、納得した上で申し込むことが大切です。
交渉に強い不動産会社を選ぶ
仲介手数料だけでなく、家賃や礼金などの値引き交渉に強い不動産会社も存在します。
地元密着型で長年、大家さんや管理会社と信頼関係がある会社は交渉に強い傾向にあります。不動産会社を選ぶ際は、昔からある地域に根差した街の不動産屋さんを選ぶと良いでしょう。
仲介手数料なしの交渉がしやすい賃貸物件を選ぶ
賃貸物件の中には、交渉次第で仲介手数料無料になりやすいものがあります。入居者が決まりにくいマイナス要素がある物件です。
例えば、駅から15分以上離れていたり、築年数が20年以上経っている場合などは、仲介手数料無料の交渉材料になり得ます。
また、大家さんが広告費(AD)を出している物件も、仲介手数料無料になる可能性があります。
仲介手数料のデメリットや落とし穴
ここまでは仲介手数料を無料にする交渉術について説明してきました。
渡邊編集者
小島解説員
- 家賃相場より高くなる可能性がある
- オプションやサービスの加入が必要な場合もある
家賃が相場より高くなる!?
仲介手数料が無料になる代わりに家賃が上乗せされる可能性があります。
仲介手数料無料の交渉に成功しても、結果的には月々の家賃が通常よりも高くなる場合があるのです。
オプションやサービスの加入が必要な場合もある
仲介手数料無料の代わりに、オプションやサービスの加入を勧められることがあります。例えば特定のインターネットプロバイダーとの契約やウォーターサーバーの契約などです。
これらのサービスが必要であれば問題ありませんが、特に必要としていない場合は注意が必要です。
こうしたトラブルを避けるためにも加入後にサービスを解約できるかどうか、月々の費用がどれくらいかかるのかを確認して、仲介手数料無料が本当にお得な取引かどうかを判断することが重要です。
仲介手数料無料の賃貸物件や不動産会社の探し方
仲介手数料無料の賃貸物件や不動産会社を探すには、インターネット検索が最も手軽です。探しているエリアがはっきりしているなら、駅名や市区町村名を組み合わせてキーワード検索すると良いでしょう。
スーモなどのポータルサイトで仲介手数料無料物件を検索することも可能ですが、条件検索の項目に表示されていないことがほとんどです。
Yahoo!不動産では、キーワード検索で「仲介手数料無料」と入力すると該当する物件がヒットすることがありますので、試してみてください。
渡邊編集者
仲介手数料の交渉に失敗した場合の代案
仲介手数料無料の交渉に挑んだ場合、すべて成功するとは限りません。実際に、不動産会社にとっては収入の柱ですから、仲介手数料無料を実現するのは難しいこともあります。
しかし初期費用を抑えることが最終目標であれば、必ずしも仲介手数料にこだわる必要はありません。
もし仲介手数料無料の交渉がうまくいかなかった場合、以下の代案が考えられます。
- 仲介手数料無料以外の線で初期費用の減額を目指す
- 初期費用の分割払いやクレジットカード払いを利用する
- 引越しにかかる費用を節約する
- 家賃の安い物件に選びなおす
- キャンペーンを利用する
仲介手数料無料以外の線で初期費用の減額を目指す
初期費用の中には仲介手数料以外に、敷金・礼金も含まれます。トータルで考えて減額交渉に臨んでみるのも一つの手です。
小島解説員
また、24時間サポートや消臭消毒などの費用が含まれている場合、契約書に「利用が必須」という記載がなければ、外してもらえる可能性もあります。
敷金礼金がゼロの物件を選ぶか、フリーレント付きの物件を選ぶことでも初期費用を大幅にカットできます。
渡邊編集者
初期費用の分割払いやクレジットカード払いを利用する
予算が足りない場合、初期費用の分割払いやクレジットカード払いをお願いするのも有効な手段です。店頭で分割払い不可と言われても、あとからカード会社に支払方法変更の申請ができるので分割も可能です。
引越しにかかる費用を節約する
賃貸物件を借りて引っ越す際には、不動産会社に支払う初期費用以外にも、引越し業者に支払う費用や家具家電を購入する費用などが必要です。
渡邊編集者
小島解説員
家賃の安い物件に選びなおす
仲介手数料や敷金、礼金は通常、家賃の1ヶ月分に相当する場合が多いです。そのため、家賃が高ければそれだけ初期費用も高額になります。
単純に家賃の低い物件を選ぶことで、初期費用を抑えることができます。
キャンペーンを利用する
不動産会社によっては、期間限定でさまざまなキャンペーンを実施している会社もあります。特に初期費用の減額や無料キャンペーンは、見逃さずに活用したいところです。
渡邊編集者
仲介手数料まとめ
少しでも初期費用を抑えて部屋探ししたい場合、仲介手数料無料の交渉はやってみて損はない方法です。
仲介手数料が無料にならなくても、他の方法で初期費用が削れる可能性もありますので、予算を明確にして交渉に臨んでみてください。
ただし、多くの不動産会社は仲介手数料の減額には消極的ですので、交渉の際には高圧的にならず、丁寧にお願いする姿勢でトライしてみましょう!