中古マンションの値引き交渉で100万円安くする方法とは?相場と価格交渉のコツ


この記事を書いた人
小島 優一
宅地建物取引士

宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士。生命保険会社にてリテール業務に従事した後、2014年に不動産仲介会社であるグランドネクスト株式会社を設立。 2021年より幻冬舎ゴールドオンラインにて不動産を通じて財産を守る、増やす、残す記事を連載している。 >> 詳細はこちらから

この記事のまとめ
  • 中古マンションは100万円以上値引きできる
  • 値引き交渉で失敗しない交渉術、8つのポイント
  • 100万円~500万円まで!値引き成功体験談

この記事をご覧の皆様は、以下のような疑問や悩みをお持ちではないでしょうか。

「中古マンションって本当に100万円も値引きできるの?」

「中古マンションの値引き交渉をしたいけれど、具体的な方法や相場がわからない」

中古マンションは新築マンションとは異なり、値引き交渉が可能です。しかし、適切な手順を踏まなければ、値引きに失敗するどころか、取引自体流れてしまうことも。

500万以上の大幅値引きに成功した体験談もあれば、値引きできなかったという人まで様々です。

渡邊編集者渡邊編集者

その違いは一体どこにあるのでしょうか。

この記事では、中古マンションの値引き交渉で失敗しないための8つのポイントや、交渉時の注意点、そして交渉までの具体的な流れについて詳しく解説しています。

小島解説員小島解説員

中古マンションは100万円以上の値引き交渉も可能

人生で最も大きな買い物となるマイホームの購入。できる限り安く手に入れたいと考えている方も多いでしょう。

結論から言うと、中古マンションは値引き交渉が可能です。

では、なぜ中古マンションは値引きができるのでしょうか。その理由について、詳しく解説していきます。

小島解説員小島解説員

中古マンションに定価は存在しない

中古マンションの値引き交渉が可能な理由は、定価が存在しないという特徴にあります。

新築マンションの場合は定価が設定されていますが、中古マンションはそうではありません。中古マンションの売却価格は売主が最終的に決定するため、交渉次第で価格を下げてもらえることもあります。

100万円の値引きは可能?

渡邊編集者渡邊編集者

それでは、中古マンションで100万円の値引きは可能なのでしょうか。

実際のところ、100万円程度の値引きは交渉次第で実現する可能性が高いと言えます。一般的に、値引きの限界は物件価格の1割程度とされていますが、最も交渉しやすい方法は端数を切ってもらうことです。

MEMO

例えば、2,990万円のマンションの場合、端数の90万円を値引きしてもらうことで、ほぼ100万円の値引きを実現することができます。

値引き交渉しやすい中古マンションとは

築古物件は値引き交渉しやすい

また、物件の設備に不具合がある場合やリフォームが必要な場合、その修繕費を値引き交渉の材料として利用することも可能です。

この場合、リフォームという必要不可欠な出費に対する値引き交渉ができるため、相場の最大値である5%まで価格を引き下げることができる場合も多いです

売り出しから3ヶ月以上経過した物件がねらい目

中古マンションの売主は、3か月ごとに不動産会社と媒介契約の更新を行っています。そのため、この契約更新のタイミングで価格交渉を持ちかけると、値引きがしやすくなります。

小島解説員小島解説員

理由としては、契約更新の場で売主と不動産会社が価格の見直しを検討することが多く、そのタイミングで交渉を持ち掛けると、売主に話を持ち出しやすくなるからです。

MEMO

希望する物件の売り出し期間が3か月を超えた場合には、交渉を持ち掛けることをおすすめします。

中古マンションの値引きを成功させる8つのコツ

中古マンションが値引き可能であることはお分かりいただけたかと思います。

では、中古マンションの売却価格の値引きを実現するためには具体的に何をすればよいのでしょうか。

ここでは、中古マンションの値引き交渉で押さえるべきポイントについて8つ解説します。

売主が個人か法人かで値引き交渉の難易度が変わる

中古マンションの値引き交渉は、売主が個人か法人かによって難易度が異なります。

基本的に、法人との値引き交渉は難しく、個人との交渉は比較的余地があります。

法人との交渉が難しい理由は、購入代金や税金など売却にかかるコストを計算した上で売却価格を設定しているためです。そのため、値引き交渉に応じてくれる法人はほとんどありません。

一方、個人の場合は売主の状況によって交渉の難易度が変わります。例えば、売主が早く物件を売りたいと考えている場合、値引き交渉に応じてくれる可能性が高くなります。

注意

ただし、売主に時間や経済的な余裕がある場合は、値引き交渉に応じてもらえないことが多いので注意が必要です。

希望する物件の周辺価格相場を調べておく

値引き交渉をする際には、希望している物件の周辺地域の相場を事前に調べておくことが重要です。

価格の相場、つまり基準を知らないと、値引き交渉の際に「根拠」を提示することができません。

相場よりも高く売却価格が設定されている場合、以下のような理由が考えられます。

小島解説員小島解説員

相場よりも高く売却価格が設定されている理由
  • あえて値引きを見越した価格設定にしている
  • 将来的に周辺が再開発されるため、価格を釣り上げている
  • リノベーションを行い、その費用が上乗せされている

逆に、相場よりも低く売却価格が設定されている場合は、以下のような理由が考えられます。

相場よりも低く売却価格が設定されている理由
  • 事故物件などの訳アリ物件である
  • なかなか買い手が付かない

相場を調べる場合は、不動産会社の情報を活用したり、東日本不動産流通機構が運営している「レインズ・マーケット・インフォメーション」などのサイトを利用すると効率よく調べられます。

値引き相場は価格の3%〜5%

中古マンションの値引き相場は、一般的に売却価格の3%~5%程度に設定されています。

例えば、売却価格が3,000万円の場合、おおよそ90万円~150万円の値引きが期待でき、最大で2,850万円まで値引きしてもらえる可能性があります。

春や秋の引っ越しシーズンは避ける

不動産市場は、入学や人事異動のシーズンとなる春と秋が繁忙期ですが、中古マンションも例外ではありません。この時期は購入希望者が多く、競争率が高まります。

競争率が高いということは、売主側も強気の値段設定をしても買ってもらえると考えているため、値引き交渉は難しくなります。

渡邊編集者渡邊編集者

一方で、値引き交渉がしやすいシーズンは、人の動きが少ない6~7月や冬の12月です。

値引き交渉は交渉に強い不動産会社に依頼する

値引き交渉は、売主と買主の双方が納得できる価格で成立します。

そのため、中古マンションの販売実績が豊富で、かつ買主側の読者の皆さんが「この担当者なら信頼できる」と感じる不動産会社に売却交渉を依頼することが重要です。

MEMO

値下げ交渉を有利に進めるためには、不動産会社の担当者を慎重に選ぶことが大切です。

住宅ローンの仮審査を済ませておく

値引き交渉を行うことも重要ですが、住宅ローンの事前審査を済ませておくことも大切です。

事前審査を通過していると、売主側に対して住宅ローンを組む資格があることを示し、取引がきちんと進められるという安心感を与えることができます。また、本審査の期間も短縮することが可能です。

審査期間
  • 事前審査:3日~1週間程度
  • 本審査:1~2週間程度

売主との交渉に備えて、こうした準備をしっかり整えておきましょう。

中古マンションの値引きに関する体験談

中古マンションの値引き交渉に関するSNSでの口コミを以下にご紹介します。

これから値引き交渉を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

中古マンションの値引き体験談
  1. 500万の値引きに成功
  2. 中古マンションは値引きが出来る
  3. ダメ押しの180万値引きに成功

500万の値引きに成功

①購入時期 → 2001年7月頃に購入

②エリア → 東京都板橋区

③今回の購入は失敗?成功? → 成功

④成約価格は満足?不満? → 満足

⑤価格交渉の有無 → あった

⑥不動産会社のサービスに満足した?不満だった? → 満足

   値引きの理由は何と言いましたか?または、 言われましたか?

元々買い手の付いた物件であったが、急な転勤のためキャンセルとなった。壁紙が全て貼り終わった状態で、選べなかった。

   提示価格いくらに対する、いくらの交渉がありましたか?

5000万円から約500万円マイナス。(1割)

引用:マンションレビュー

こちらはもともと買い手がついていましたが、急な転勤で取引が流れたタイミングで交渉をした結果、なんと500万円という大幅値引きに成功した事例です。

相場は3%~5%と言われる値引きですが、10%まで値引きを引き出せたのはタイミングの力が大きいかもしれませんね。

中古マンションは値引きが出来る

こちらはXで呟かれた値引き成功のポストです。

新築では実現しない額の値引きも中古マンションなら可能と実感しているようです。

ダメ押しの180万値引きに成功

この方は端数切り程度で値引きされるだろうと思いながらも、思い切って100万以上の値引き交渉を試みたところ、すんなりOKされたというポストです。

こちらが思っているより、交渉を前向きに考えてくれる売主もいるため、常識の範囲内で思い切った額を提示してみるのも手です。

次の章では中古マンションの値引き交渉の流れを解説します!

小島解説員小島解説員

中古マンションの値引き交渉の流れ

ここまで、中古マンションの値引き交渉において抑えておくべきポイントについてご紹介しました。

次に、実際に値引き交渉を行う際の流れがどのようになっているのかを解説します。

交渉に強い不動産会社を見つける

先ほど値引き交渉を持ちかける際のポイントでも触れましたが、最初に行うべきは信頼できる不動産会社と担当者を探すことです。

その基準としては、中古マンションの取引実績が豊富であるかどうかが重要です。複数の不動産会社を比較し、どの会社や担当者であれば値引き交渉を効果的に進められるかを判断しましょう。

注意

ポイントは必ず複数の不動産会社を比較することです。1社だけを見て依頼するのはおすすめしません。

住宅ローンの事前審査を済ませる

先ほども触れたように、不動産会社と担当者を見つけたら、まず住宅ローンの事前審査を済ませておきましょう。

「審査は面倒なのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、事前審査では本審査に比べて必要な資料が圧倒的に少ないため、金融機関のホームページなどで調べればすぐに用意できます。

MEMO

事前審査を行うことで、売主に購入の意思を示し、安心感を与えることができます。また、審査が本審査のみとなるため、審査期間を短縮することが可能です。

買付証明書と事前審査の書類を用意

事前審査を完了させた後は、事前審査の通過証明書と買付証明書(購入申込書)を準備し、購入の意思を売主に示しましょう。

買付証明書には、値引き後の希望金額を記入することが重要です。そして、不動産会社を通じて買付証明書を売主に渡すようにしましょう。

MEMO

書面で購入の意思を示すことで、「この人は本当に買いたいのだな」と売主に強く印象付けることができます。

値引き交渉スタート 

すべての準備を整えたうえで売主側に値引き交渉を持ち掛けてみましょう。

値引き交渉をする際は次の章で解説する注意点を抑えてから臨むようにしてください。

中古マンションの値引き交渉で失敗しないための注意点

渡邊編集者渡邊編集者

値引き交渉までに行うべき準備と流れについて説明してきましたが、いよいよここからが本番ですね!

ええ、値引き交渉の場では、売主は「高く売りたい」と考え、買主は「安く買いたい」と考えるため、基本的に双方の主張が一致しません。

小島解説員小島解説員

ここでは、値引き交渉の場で少しでも有利に立つための方法を3つ解説します。

買付証明書の重みを理解する

先ほど説明した買付証明書(購入申込書)を活用することで、売主に購入の意思を示すことができます。

買付証明書自体には法的拘束力はありませんが、書面に値引き後の金額を記載することで、値引きが成功する確率を高めることができます。

MEMO

また、買付証明書を提出し、双方で合意が得られた場合には、売主から「売渡承諾書」を受け取ることが望ましいです。

この承諾書にも法的拘束力はありませんが、取引に応じる意思を書面で示すことで、値引きの確実性がさらに高まります。

交渉の場での言葉の使い方に気を付ける

交渉の際には、売主に対して発する言葉を慎重に選ぶことが基本です。売主も人間であるため、買主側の言葉が不適切だと、値引きに応じてもらえない可能性もゼロではありません。

例えば、「物件は駅からも近く、日光もよく入るのでとても気に入っていますが、風呂回りのリフォームを検討しているため、そのリフォーム費用分の値引きが可能でしょうか」と、物件の良さを評価しつつ、リフォームの必要性を伝えると良いでしょう。

渡邊編集者渡邊編集者

値引き交渉の際には、値引きの根拠となる見積書なども持参しておくと説得力が増します。

住宅ローン控除は適用できるか確認

中古マンションには、住宅ローンの年末残高をもとに翌年の所得税額が控除される「住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」が適用される場合があります。

ただし、控除が適用されるためには以下の条件を満たす必要があります。

控除適用の条件
  • 物件を取得してから半年以内に実際に居住していること
  • 年間の所得合計が3,000万円以下であること
  • 築年数が一定の期間以下であること
  • 床面積が50平方メートル以上で、そのうち25平方メートル以上が居住用スペースであること
  • 建築後に利用された物件であること など

条件が一般の方には理解しにくい場合もあるため、不動産会社の担当者に確認することをおすすめします。

まとめ

今回は、中古マンションの値引きを成功させるために必要なポイントや交渉の方法について解説しました。

解説したポイントをしっかりと押さえることが、値引き交渉を有利に進めるためには非常に重要です。

小島解説員小島解説員

値引き交渉には事前の準備が不可欠です。交渉日当日までに仲介する不動産業者と連携しながら、しっかりと準備を進めてください。準備を万全に整えて、値引き交渉に臨むことが成功への鍵です。