「家を買うならどこの不動産会社がいいの?」と悩む方は少なくありません。住宅購入は人生の大きな決断であり、その成功を左右するのが適切な不動産会社の選定です。しかし、不動産会社によって提供するサービスや特徴が異なるため、選び方を誤ると理想の家を見つけるのが難しくなります。新築マンションなどの物件では、売主が不動産会社である場合、仲介を挟まずに直接購入できることもありますが、通常の取引では仲介業者を通すことが一般的です。特に不動産会社選びと同様に大事なのは担当者のスキルと対応力であり、購入のタイミングや金額にも大きく影響することがあります。そこで本記事では、家を購入する際に考慮すべき不動産会社の選び方や見極め方を詳しく解説します。
小島解説員
山口編集者
家を買う際、どこの不動産会社がいいか?選び方と見極め方
信頼できる不動産会社を見つけるには、各社の特徴を理解し、慎重に比較検討することが大切です。
次の選び方のポイントを参考に、理想の取引を目指しましょう。
仲介手数料が無料になる不動産仲介会社を選ぼう
仲介手数料が無料の不動産仲介会社を利用すれば、売買時の初期費用を数十万円から数百万円も節約できることもあります。
たとえば、2,980万円の物件を購入する場合、通常の手数料計算式「物件価格×3%+6万円」に基づくと、約95万4千円を抑えられる計算です。
4,000万円の物件なら約126万円、5,000万円では約156万円の節約になります。
このように、仲介手数料は不動産会社のサービス対価として発生するもので、取引価格に応じて費用が大きくなるため、初期費用を抑える工夫が重要です。
また、仲介方法には両手仲介(売主・買主両方を代理)と片手仲介(片方のみを代理)があり、片手仲介では売主か買主の一方だけに集中したサービスが可能になります。
近年では、仲介手数料を収益源としない会社も増え、無料もしくは大幅割引で提供するケースも多く見られ、こうした会社を選ぶことで大きな経済的メリットを得られるでしょう。
不動産会社のHPを確認
まず、不動産会社のホームページを確認し、開業から5年以上経っているかどうかをチェックすることが重要です。
ホームページが存在しない、またはスマホ未対応の会社もまだ多いため、信頼できるかどうかを見極めるためにはまずウェブサイトの有無を確認しましょう。
見ておきたいポイントとしては、物件情報の数よりも提供されているサービス内容が充実しているか、経営者の姿勢や顔写真が載っているかなどがあります。
5年以上の運営歴がある会社は、地域で培ってきた実績と経験により、物件情報の充実度や信頼度が高く、トラブルのリスクも低い傾向にあります。
また、長く地域に根ざしている会社はそのエリア特有の事情にも詳しいため、利用者により的確な物件提案が期待できるでしょう。
購入したいエリアや条件を絞る
物件選びをスムーズに進めるためには、まず希望するエリアや条件をしっかりと絞り込んでおくことが大切です。
たとえば、「住みたい地域」「物件の種類」「間取り」「設備内容」「周辺環境」「価格」「管理費や修繕費」「交通アクセス」「築年数」といった要素をあらかじめリストアップし、整理しておきましょう。
これにより、自分の理想に近い物件を効率的に見つけることができ、取引もスムーズに進められる可能性が高まります。計画的に条件を明確にすることで、後悔のない物件選びが実現しやすくなります。
不動産会社の評判・口コミを確認
不動産会社を選ぶ際には、評判や口コミを確認することが非常に有益です。
口コミは、その会社のサービスや対応の質を知る手掛かりとなり、利用者の実際の体験に基づいた評価が得られます。
良い評価だけでなく、悪い評価もあわせて確認することで、特定の問題点がないかも把握しやすくなります。
複数の口コミサイトやGoogle Mapなどで複数の不動産会社の口コミを見比べ、自分に合った信頼できる不動産会社を選ぶための参考にしましょう。
担当者の対応を確認する
不動産購入は高額な取引であり、人生においても大きな影響を与えるものです。
そのため、担当者の対応力は非常に重要です。例えば、値引き交渉の進め方や購入申し込みのタイミングなど、担当者の判断や行動によって結果が大きく左右される場合があります。
迅速なレスポンスや正確な情報提供、そして柔軟な対応力を持つ担当者であれば、希望通りの物件や価格帯での購入が実現しやすくなります。
また、不動産取引においては、会社のサポートも重要ですが、最終的な結果を左右するのは担当者のスキルと判断力です。
経験豊富で、税制や建築の知識に精通した担当者がいれば、安心して取引を進められます。一方で、巧みな話術に惑わされず、冷静に担当者の対応や提案の質を見極めることが大切です。
複数の不動産屋巡りをして複数の担当者と話をし、信頼できるかどうかを判断し、自分にとって最適なパートナーとなり得るかを慎重に見極めましょう。
家の購入はどこの不動産会社でも可能
家の購入を考える際、特定の不動産会社に足を運ぶ方が多いですが、実は住宅を購入するのはどの不動産会社からでも可能です。
その理由は、不動産業界に特有の仕組みやルールがあるからです。たとえば、多くの人が利用するSUUMOやHOMESなどの不動産情報サイトでは、同じ物件がさまざまな不動産会社から掲載されています。
この背景には、各社が共有する情報ネットワークが影響しています。ここでは不動産業界の仕組みについて解説していきます。
不動産会社の仕組みとルール
不動産取引では、物件が複数の不動産会社で掲載されることが一般的ですが、これは広告の仕組みと業界特有の「レインズ」というネットワークシステムによるものです。
レインズは、売却依頼を受けた不動産会社(元付業者)が物件情報を登録し、それを他の不動産会社が共有できる仕組みです。
国土交通大臣指定のこのシステムは東日本、中部、近畿、西日本の4地域に分かれており、物件情報が一元管理されています。
これにより、元付業者が登録した物件を他の不動産会社(客付け業者)も紹介できるようになり、結果として同じ物件が複数の不動産会社に掲載されることが可能になります。
どこの不動産会社でも家の購入はできる
レインズを通じて、多くの中古物件情報が不動産会社間で共有されているため、基本的にはどの不動産会社でも同じ物件を紹介することができます。
たとえば、売主が元付業者に物件の売却を依頼すると、その情報がレインズに登録され、客付け業者もその物件を自社の顧客に紹介できるようになります。
そのため、「豊富な物件情報」といったキャッチコピーは、どの会社でも同様の物件情報にアクセスできる仕組みが背景にあることが多いのです。
また、新築物件など一部の特定の不動産会社が直接管理している物件を除き、ほとんどの中古物件はレインズに掲載されており、どの不動産会社からでも購入が可能です。
このため、不動産会社を選ぶ際には、物件情報の豊富さだけでなく、元付業者・客付け業者としての役割や担当者の対応力、サポート体制を重視して選ぶことが、満足のいく取引につながるポイントとなります。
仲介手数料無料は元付けと客付けの違い
家の購入において、不動産会社の役割を理解することは非常に重要です。
元付業者と客付業者という二つのタイプの仲介業者が存在し、それぞれの特徴や料金体系が異なります。
元付業者は、売主から直接依頼を受けて物件の販売活動を行います。
この業者は、物件の状況や周辺環境に関する豊富な知識を持っており、売主と直接連絡を取りながら取引を進めます。
一般的には、売買価格の3%に加えて6万円(税込)を、売主と買主の両方から徴収することが多いです。
一方、客付業者は買主側からの依頼を受け、希望に合った物件探しや購入サポートを行います。
元付業者とは異なり、幅広い物件を紹介できる可能性があります。通常、客付業者は買主からのみ売買価格の3%+6万円(税込)を徴収します。
このように、元付業者と客付業者では求められる知識やスキルが大きく異なります。
元付業者は不動産取引の実務に関する知識が必要であり、物件調査や権利関係の整理、売却時の税務知識などが求められます。一方、客付業者は、物件の資産価値や将来的なリスクを見極めるための知識、税制や補助金に関する理解、さらに住宅ローンの知識も必要です。
近年、中古住宅の流通量が増加する中で、両者の得意分野が徐々に分かれてきています。そのため、どちらのタイプの業者が得意なのかを見極めることが、スムーズな不動産取引を実現するための第一歩となります。
元付け業者で購入するメリット・デメリット
元付業者のメリットは、レインズに掲載されていない情報も把握している場合があり、希少な物件を見つけるチャンスがあることです。
また、売主と直接やり取りするため、価格交渉や契約条件の変更など、柔軟に相談しやすい環境が整っています。
元付業者は、売出し前に時間をかけて物件を調査しているため、法令の制限や境界紛争の有無など、詳細な情報を持っています。
一方、元付業者のデメリットは 売主からの直接依頼を受けているため、元付業者は特定の物件に熱心で、他の物件情報を気軽に提供してくれないことがある点です。
また、売主と買主の両方から仲介手数料を徴収する「両手取引」を狙う可能性があり、場合によっては「囲い込み行為」が行われるリスクもあります。
客付け業者で購入するメリット・デメリット
客付業者のメリットの一つは、買主のニーズを理解し、希望に合った物件探しや購入のサポートを積極的に行ってくれることです。
売主の立場を気にせず、物件の欠点やリスクについて率直に教えてくれることが多いため、透明性の高い情報を得やすいです。
一方、客付け業者のデメリットは扱っている物件数が限られているため、希望条件に合致する物件が見つからない可能性があります。
元付業者に比べて、物件についての詳細な知識が不足している場合があり、情報が限られることがあります。
元付業者と客付業者を選ぶ基準は?
山口編集者
小島解説員
購入したい家が決まっている際は、元付け業者で探した方が優位に交渉できます。
なぜかというと、なぜかというと、元付け業者は売主との直接の関係を持っており、物件に関する詳細な情報や背景を把握しているため、交渉において有利な立場を築くことができるからです。
彼らは売主の意向や物件の特性を理解しているため、適切なアプローチで価格交渉や条件の調整を行いやすくなります。
また、売主から直接依頼を受けているため、他の仲介業者を介さずに直接的なコミュニケーションが可能であり、迅速な意思決定が期待できます。
このように、特定の物件に興味がある場合、元付け業者を通じて交渉を進めることで、条件をより良くするチャンスが高まります。
山口編集者
小島解説員
購入したい家のイメージが明確でない場合、客付け業者は買主のニーズを深く理解し、幅広い物件情報を提供してくれるからです。
客付け業者は、さまざまな物件を扱っており、希望条件や予算に基づいて最適な選択肢を提案してくれます。
さらに、彼らは市場のトレンドや物件の特性についての知識が豊富であり、買主が知らない魅力的な物件を紹介してくれることもあります。
また、客付け業者は買主の視点に立ったサポートを行うため、物件の欠点や将来的なリスクについても正直にアドバイスを提供してくれます。
このように、イメージがまだ定まっていない場合には、客付け業者を利用することで、より多様な選択肢を得られるのです。
良い担当者の選び方と見極め方
不動産取引において、信頼できる担当者を選ぶことは非常に重要です。ここでは、良い担当者を見極めるためのポイントを紹介します。
山口編集者
小島解説員
おとり物件を扱っていないか確認する
おとり物件とは、実際には存在しないか、既に募集が終了している物件のことを指し、集客を目的とした不動産業者が用いる手法です。
おとり物件を扱っている業者は、他にも信頼性に欠ける情報を提供する可能性が高いです。
インターネットや店舗の掲示物に掲載されている物件が、実際に空いているかどうかを事前に確認することが大切です。
特に、多数の募集が終了している場合は注意が必要です。信頼できる担当者は、こうしたリスクについても顧客にしっかりと説明してくれるでしょう。
宅地建物取引士の資格保有者
宅地建物取引士(宅建士)は、不動産取引における重要事項説明を行う資格を持つ専門家です。この資格を持つ担当者は、法的な知識と業界経験があることを示しており、安心して取引を任せることができます。
資格を持たない担当者は、重要な法律的事項についての知識が不足している可能性があり、リスクを回避するためには最低限宅建士の資格を持つ担当者を選ぶべきです。
丁寧なヒアリングをしてくれる
良い担当者は、顧客のニーズをしっかりとヒアリングし、それに基づいて適切な物件を提案してくれます。
顧客が求める条件を理解し、しっかりと考慮する姿勢が重要です。
単に物件を紹介するだけでなく、顧客のライフスタイルや将来的な計画を考慮に入れた提案を行う担当者が望ましいでしょう。
このような担当者は、顧客にとって最適な選択肢を提供し、満足度を高める手助けをしてくれます。
レスポンスが早い
不動産取引において、迅速な対応は極めて重要です。
物件に対する申し込みが遅れると、他の買い手に先を越される可能性があります。
特に人気のある物件では、数分や数時間の遅れが致命的になることもあります。
顧客からの問い合わせに対して迅速に対応し、必要な情報を提供できる担当者は信頼できる存在です。
また、売主としても、購入希望者からのレスポンスが遅れることで他の選択肢に目移りされてしまうリスクがあるため、スムーズなやりとりが求められます。
物件のデメリットも正直に伝えてくれる
良い担当者は、物件のメリットだけでなくデメリットも正直に伝えてくれます。
入居前に知っておきたい情報、例えば騒音や雨漏りといった問題についても事前に確認することができる担当者は、顧客の信頼を得ることができます。
物件選びでは、悪い面も含めて総合的な判断をすることが重要です。
デメリットを隠す担当者は、売りたい気持ちが強くなりがちで、結果として顧客にとって不利な選択をさせる恐れがあります。
申し込みや契約を急かさないでくれる
不動産取引において、契約を急かされるのはあまり好ましくありません。
営業担当者の都合で契約を急がされると、冷静な判断ができないまま契約を結んでしまうリスクがあります。
特に、内見時に「今決めれば特典がもらえる」などの言葉に惑わされないように注意が必要です。
信頼できる担当者は、顧客のペースを尊重し、じっくりと検討する時間を提供してくれるでしょう。
契約を急かされる場面では、しっかりとした情報を得るために周辺物件と比較することが大切です。
大手不動産会社に依頼する時の注意点
大手不動産会社に依頼することは、多くの選択肢や安心感を提供しますが、注意すべき点もいくつかあります。
ここでは、そのリスクや懸念事項を詳しく説明します。
両手仲介のリスク
大手不動産会社では、両手仲介が一般的です。両手仲介とは、不動産会社が売主と買主の両方から手数料を得る形態を指します。この仕組みにはリスクが伴います。
まず、仲介業者は売主と買主の利益を同時に考慮しなければならず、利害関係が対立する可能性があります。
例えば、売主が高い価格での売却を希望する一方、買主はできるだけ安く購入したいと考えることが一般的です。
この状況では、担当者がどちらのニーズを優先すべきか悩むことになり、結果として顧客にとって不利な提案が行われることもあります。
また、両手仲介が行われると、情報の非対称性が生じることがあるため、顧客は正確な市場価格を把握できないリスクも抱えます。
さらに、両手仲介を行う大手不動産会社では「囲い込み」の問題も発生しやすいです。
囲い込みとは、売主が不動産会社に専属専任契約を結ぶことで、他の仲介業者に物件情報が公開されず、結果的に市場での競争が制限される状況を指します。
これにより、売主は潜在的な購入者を逃す可能性があり、また、買主側も選択肢が狭まり、適正価格での取引が難しくなることがあります。
囲い込みによって、本来得られるはずの利益が損なわれることもあるため、注意が必要です。
担当者の負担増加
大手不動産会社では、多くの物件を扱うため、担当者の負担が増加する傾向があります。
担当者が多数の案件を同時に管理している場合、一人ひとりの顧客に対して十分な時間を割くことが難しくなる可能性があります。
これにより、顧客への対応が疎かになり、必要な情報を十分に提供できない状況が生まれることがあります。
また、担当者が忙しい場合、適切なアドバイスが受けられないリスクもあるため、事前に担当者の状況を確認することが重要です。
事務的な対応になる可能性
大手不動産会社では、業務の効率化を重視するあまり、顧客対応が事務的になりがちです。
特に、顧客一人ひとりのニーズや希望を深く理解することが求められる不動産取引において、機械的な対応は大きなマイナス要因となります。
契約や物件の説明が形式的になり、顧客が求める細やかなサービスが不足することがあります。
このような事務的な対応では、顧客が納得して取引を進めることが難しくなるため、個別対応を重視する不動産会社を選ぶことも考慮すべきです。
コミュニケーションの希薄化
大手不動産会社では、多くの顧客を同時に対応するため、コミュニケーションが希薄化する恐れがあります。
特に、担当者が異なる部署やチームに所属している場合、情報共有が不十分になりがちです。
この結果、顧客が必要とする情報が正確に伝わらず、誤解を招く原因となることがあります。
さらに、連絡が遅れることで重要な決断を下す際に必要な情報が得られず、機会損失につながる可能性もあります。
円滑なコミュニケーションを図るためには、担当者との密な連絡を心掛け、必要な情報が常に伝わる体制を整えることが重要です。
まとめ
この記事では、家を購入する際の不動産会社の選び方や見極め方について詳しく解説しました。具体的には、仲介手数料が無料になる不動産仲介会社を選ぶことや、会社の実績を確認することが重要であり、希望エリアや条件を明確にし、評判や口コミを確認し、担当者の対応もチェックする必要があります。また、不動産会社の仕組みやルールを理解し、どの会社でも家の購入が可能であることを知っておくと良いでしょう。さらに、家の購入に強い不動産会社は元付けと客付けのどちらかであり、仲介手数料無料の仕組みや、元付業者と客付業者のメリット・デメリットを把握し、自分に合った選択をすることが重要です。良い担当者の選び方としては、おとり物件を扱っていないか、資格保有者か、丁寧なヒアリングができるかなどを見極めるポイントが重要です。最後に、大手不動産会社に依頼する際の注意点として、両手仲介のリスクや、担当者の負担、事務的な対応、コミュニケーションの希薄化について知っておくことが必要です。